「ナマエ〜」
「ん?んぐ…!」
テレビに向けていた顔を振り向かせた瞬間に敦の手が口に突っ込まれる。「あーん」……いや、順番おかしい。できれば突っ込む前に言ってほしかった。それならまだ多少の準備ができたのに。さっきまでベッドで寝ていたと思ったら、いつのまにお菓子を取り出していたのか。
「このチョコ、室ちんのおみやげ」
「ん、」
こいつ。手を抜いてくれ。そしてチョコから指を離せ。氷室さんのおみやげということは海外の美味しいチョコなはずなのに。くそ。
少しだけ考えて仕方がないから敦の指ごとチョコを舐める。舌の上には乗っかっているから案外簡単だった。あわよくば指からチョコをもぎ取る作戦。
「…んま」
さすが。さすが氷室さん。程よい甘さと少しお酒が入っているのか苦味も混ざっている。大人の味という感じ。それより敦は楽しそうにしていないで早く指を抜いてほしい。
「ナマエえろー」
ようやくべちょべちょの指を抜いたかと思えばエロいなんて。誰のせいだ。素直にもう一つチョコをよこせ。
「オレも食べたい」
「うん。私も。だからちょうだい」
「んー」
まぁなんとなく、敦の楽しそうな顔とエロい発言から想像はできていたけど、キスをされる。口内に残る甘いチョコの味を全部奪われるようなやつを。
「………」
「……敦」
「………なに」
「照れるなら最初から普通にチョコちょうだいよ」
キスをするところまでして今までのことが恥ずかしくなったのか敦は赤い顔。へんなやつめ。
「………照れてねーし」
(130114/むっくんの手を食べる)
たべたい。