いとこ以上、
それなら、両思いだろ?
◆夏祭り

オレ、土下座中。

「ほんっとに、ごめんなさい」

「……」

「ごめん、……勇気……ごめんって……」

「……」

「こっちみてよ、ね? ほら、ごめん、な?」

何も反応を返してくれない勇気に、ひたすら謝ってる。
自分でも、バカな事したって思うし。

そりゃ怒っるよな。
怒ってるよな……?

ああ、オレの大バカ三太郎。
畜生、何だよ、三太郎って。

「ごめん、ほんと……つい」

「……」

「うまそうに見えて、……ごめん」

ほんとごめん。

べえっと、ヘン顔で付きだされた舌が、イチゴのシロップで真っ赤になってて。
目の前の三角に尖った舌先が、少し震えてて。
近付いた勇気からは、甘い、甘いイチゴの匂いがして。

ぱくって。


……食いついてしまった。
勇気の舌に。


何してんの、オレ。


「痛かった?」

少し歯を立ててしまった勇気の舌は、柔らかくて、冷たくて、ちゅっと吸うと甘かった。
思った通り、うまいな、なんて思ったりして。


目の前にある勇気の目が、まん丸に開かれてるのを見て、はっとした。
その瞬間に突き飛ばされて、尻もちをついた俺。
ぐるっと後ろを向いて、しゃがみこんでしまった勇気に、ずっと謝り通しだ。


「……な……」

「え?」


微かに聞こえた勇気の声に自分でもびっくりするくらいドキドキして、小さく蹲った体に四つん這いで近付く。

「痛く、ない……」

顔を埋めた腕の中から聞こえる微かな声に、ほっとした。

答えてくれた。
話をするのすら嫌なくらい物凄く怒ってるんだと、思っていたから。
それとも、嫌われた、とか。
キモイって、嫌われたかと、思って、怖くて。

「ほんと?」

小さな後頭部がこくんと揺れる。

「ごめん、ほんとうに。ごめんね」

「……うん」

またひとつ、こくんと頭が揺れた。

髪の毛の間から見える勇気の、耳が、赤い。
ああ、真っ白な首も、赤い。

……恥ずかしかった?

そうだよな……そう……。


……俺も、多分、赤くなってる。



 ◇  ◇



顔が、上げられない。

怒ってる……訳じゃないんだけど。
情けない正義の声が聞こえる度に、また、顔が熱くなる。


正義のバカ。


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