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ぼくらのテリトリイ



生徒会長×幼馴染
アンチ王道
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非常に迷惑。
それはもう甚だしく。

「お前! そんな変装するな! 大丈夫だ!」

いやいや、変装とか大丈夫とか何の事かまったく分かりませんってば。

「そんな眼鏡で顔を隠すなよ!」

は?

い?

眼鏡って、知ってます?
視力矯正するものですよ?
近視なんです。
ド近眼だから眼鏡してるんです。

って。

「あ」

眼鏡を毟り取られまった。

「ちょっと、返してよ」

「こんな物で周りに壁作ってるから友達ができないんだ!!」

がしゃっと嫌な音がする。

ぼやけた視界に、床に転がる黒い物体。
愛着ある眼鏡の悲惨な最期に、ショックを受けた体が動かない。

「こんな、カツラも外せよ!」

「った! いたい! やめて、ってば、いたっ!」

髪の毛をむんずと捕まれて、思い切り引っ張られた。
あまりの痛さに涙が出る。

プチプチと髪の毛が切れる音がする。

そりゃ!
確かに!

俺の髪の毛は天パで、ぐるぐるで、アフロみたいだけど!
何かのっかてるみたいだけど!

本物なんだから。

痛い!
禿げる!


……なんなんだよ。
泣きそうだ。

こんな、こんな、髪の毛に生まれついたのが悪いのか?
小中といじめに耐え抜いて、やっと高校でそんな苦痛から開放されたと思っていたのに。
何でこんな目に合わなきゃいけないんだ。


そりゃ俺も、被ってるなとは思ったよ?

理事長の甥だという彼の外見は、僕とそっくり。
平均よりも小さい身長に薄い体。
もじゃもじゃの黒い髪の毛。
分厚い眼鏡。

びっくりしたさ。


彼もびっくりしたんだろう。
早速声を掛けられて、よく分からないうちに友達にされてしまった。

で、冒頭に戻る。


友達……と違うよね? コレ。 


何?
意味がわからない。



「何をしている?」

「あ」

「沙羅!」

物凄く不機嫌な声音のイケメンがゆっくりと近づいてきた。
あ、見えてないけどね、イケメンなのは間違いない。

「何だ沙羅! 俺を探してたのか!? 寂しかったのか?」

「教室にいないと思って探していたら、こんなところで……」

大きな手が、弾んだ声を上げる転校生の肩を掴む。
転校生はそちらに気を取られたらしく、やっと俺の髪の毛が開放された。

ああ、痛かった……。
将来禿げたら呪うしかないよね。

「おら、つまらねえことしてねえで、行くぞ」

「あ……」

「沙羅! そいつは違うぞ! 俺はこっちだ!」

俺の背中に腕を回したイケメンの手を転校生が力いっぱい引く。
綺麗な眉がピクリと歪んだ。

「ああ? 誰だよ、てめぇ。俺は恋人を探しに来ただけだ」

「ちょっと、それ、御園かいちょ……」

「沙羅って呼べって言ってるだろ」

「だって……ここ学校……」

「ちっ。じゃあ寮に戻るか?」

「……ンあ……」


「!!! 男同士で! キス!!? 不潔だ!!」


なんだか騒いでいる転校生を完全に無視した俺の恋人によって、俺の午後の授業は欠席を余儀なくされた。

……ん?
沙羅?

幼馴染だけど……?

「恋人だ」

「うん、そうだね」(にっこり)


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アンチ王道。
もじゃもじゃくんです。

せっかく色っぽいお題なんだからしっとりした話にすればよかったと、ちょっぴり後悔しています。


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