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脇役的回想
07

荒い息遣いに混じって、くちゅくちゅと淫靡な音がする。
たまにベッドのスプリングが軋んで微かな音を立てた。

「ふ、ああ……」

軽く目を閉じた俊明は自慰に没頭していた。

右手で根元を支えながら、左手で摘むようにして扱くと、少しもどかしい刺激に腰がじんじんして来る。
気持ちいい。
猛り切ったペニスは、先端からしきりに蜜を零す。
それを指に絡めて塗りこむようにすれば、摩擦が増して、またいい。


ここが自宅でないことなど、俊明の頭からすっかり抜け落ちていた。
だから、だらしなく開いた口から漏れる呻き声を押し殺そうともしない。

「何、してるのかな?」

聞き覚えのある声が耳に入っても、暫く状況が分からなかった。

声のした方を見ると、部屋の入り口にパジャマ姿の悟が立っている。
間抜けな格好の俊明を見つめる悟と目が合った。
悟の、いつもは後ろに撫で付けている髪が額に掛かっていて、どことなく雰囲気が違う。

「若い」

「え?」

「髪」

「? 何してるの?」

俊明の言葉に不思議そうな顔をして、悟が一歩踏み出した。

「…………オナニー……す」

途端に頭が回転しだして、ざあっと血の気が引く。

やばい……。
やばい、だろ?

何やってんだ、俺!?

や、オナニーだけど。


…………この状況はかなりまずいんじゃないだろうか?



ドクドクと鼓動が跳ねて、嫌な汗がじわりとにじむ。


どうしよう?

頭が真っ白だ。




「んっ!!!??」

突然下半身に直接的な刺激を受けて、腹筋に力が入った。

「悟さん? ちょ、何して……?」

悟の長い指が俊明のペニスを握っている。
ベッドの上に乗り上げた悟の右膝が、ぎしりとマットレスを軋ませた。

「何って、オナニーだろ?」

にっと笑顔を浮かべた悟の顔が近い。
いつもとは違う砕けた口調。
初めて見る男臭い表情に戸惑いを隠せない。

「せっかくイきそうだったのに、悪かったよな?」

「え、いヤ…………?」

「せっかくだから、手伝うぜ?」

「!」

目前に迫った悟の瞳に灯る色気に気づいて、俊明のペニスがどくりと脈打った。


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