「
童話体験」
おやゆび姫
鼠A
モールがあつらえた嫁入り修行用だという部屋の扉を開くと、まず、巨大なベッドが目に飛び込んでくる。
部屋の中央のベッドにメイキングされた寝具は、見るからにふかふかで快眠間違いないだろう。
凝った装飾の天蓋から垂れている細かい刺繍の施されたレースが美しいドレープを描いている。
ベッドと同じしつらえのサイドテーブル。
毛足の長いラグは、足をついて良いのか悩む程に上等だった。
その豪華さに思わずため息をつく。
高い天井がその微かな音を反響させて正面から雷に返した。
ふと、ベッドの奥のカラフルな存在に意識が向いた。
壁一面が棚になっている。
その棚には様々な形態のオブジェが所狭しと並んでいた。
部屋に入った雷は、不思議そうにそのオブジェを一つ一つ見て行った。
そして、そのうちの一つが目に入った瞬間、したくもない理解をしてしまった。
人の性器をかたどったそれの用途が分からないほど初ではない。
恐らく他のオブジェも同じ目的の物なのだろう。
思わず一緒に部屋に来たマウスを伺うと、それに気づいて雷に向き直る。
間違いであって欲しいと願う雷に、その優しい笑顔が最期通牒を突きつけた。
「モールとの幸せの為に、しっかり身につけておかないとね」
◇ ◇
だらしなく開いた口で浅い呼吸を繰り返す。
喉から意図しない呻き声が漏れ出すが、気にしていられない。
雷は力を抜くのに必死だった。
「……まう、す……あぁ、も、無理……」
不思議な圧迫感が恐ろしい。
にちゃにちゃと言う音の原因が先程垂らしたジェルなのか、それとも自分の粗相なのか。
不安が更に雷を追い詰める。
雷はベッド上に仰向けに横たわっていた。
何も身につけていない。
柔らかな布団が、微かな刺激を肌に伝える。
立てた膝が視界に入るのがなんとも間抜けだ。
雷からは確認できないが、アナルからにょっきりと異物が生えている。
ベッドサイドに腰掛けたマウスが雷の涙目を覗き込んだ。
「まだ少ししか入ってないよ。大丈夫、やってごらん」
額にかかった前髪を優しく梳く手に促されて、雷はアナルに差し込まれた人差し指程の太さのスティクに手をかける。
目を閉じると、息を一層浅くさせてスティクを押し進めた。
「あぁ……あ……あああ……」
ずるりと異物が体を割り開いていく。
閉じていた瞼はすっかり開ききって、瞳は天井を超えたどこか高いところをさまよっていた。