童話体験
おやゆび姫
虫@

「……ん……っちゅ……」
「……ちゅぱっ……ふぁ……」

湿った音の合間に、熱のこもった吐息が漏れる。

薄く目を開くと、頬を上気させて眉根を寄せた少年の愛らしい顔が至近距離に見えた。
閉じた眦を飾る睫がふるふると震えている。

雷の唇を食み、差し込んだ舌を吸うその必死な様子に、ふと笑みが漏れた。

慣れないその仕草に何ともいえない愛さを感じる。
粘膜に感じる刺激も、混ざり合う唾液も、熱い吐息も、密着する暖かな体温も、全てが心地よかった。

拙い息継ぎに顔を赤らめて、名残惜しそうに舌をきつく吸って離れた少年の唇が濡れている。
焦点の合わない潤んだ瞳がゆらゆらと揺れているのが艶めかしかった。
雷の首筋に顔を埋めて吐き出した熱い息に産毛を擽られて、雷も吐息を漏らす。

あぐらをかいた雷の膝を跨いで、くったりと弛緩した上体を預ける少年を抱き締めてやった。

艶やかな黒髪を指で梳きキスを落とすと、お返しとばかりに少年も雷の首筋を舐め上げた。
そのまま耳朶を食まれて、思わず身を捩る。
その反応に嬉しそうに輝かせた目で雷の表情を伺うと、服の裾に手を差し入れた。

「! スカルブ!」
「……駄目?」

とっさに手を掴み諌めた雷に、スカルブが下から見上げて強請る。
可愛らしいその様子に拘束を緩めた雷の手に唇を当てると、スカルブは上着をたくし上げた。
露わになった胸元に顔を埋める。

ちゅ……ちゅぱ……。

「……ふ……っ」
濡れた音がして、雷の眉根が寄せられた。
雷の色づいた部分がスカルブの口に含まれる。
ねっとりとした舌が何度もその上を舐ると、中心がぷっくりと主張をはじめる。
「アっ!」
小さな膨らみを前歯で軽く甘噛みされて、雷の体が小さく跳ねた。

胸元から黒い瞳が嬉しそうに雷を見上げて、もう一方の突起に舌を移す。
ちゅっと音を立てて吸い付くと、はぐはぐと歯形を付け出した。
初めに舐られた、いやらしく濡れてぽってりとした部分は、小さな指が摘み上げる。
「ん、あぁ……」
両の乳首から背筋に伝わる快感に雷は体を震わせる。
密着したスカルブの体に押し当たって、雷自身が熱を持っている事に気が付いた。

嘘だろ……。

女のように、その部分への愛撫で感じていることに戸惑い、羞恥に顔が赤らむ。
赤ん坊のように必死に食んでいるスカルブを押しのけることもできずに、雷は高まる熱を持て余し、快感を逃がそうと揺れそうになる腰を叱咤した。


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