「
バケーション」
畳の目を数えるように
幾分ひんやりとした空気が溜まった薄暗い土間で長靴を脱ぐ。
「う、わ! ってえ……」
バランスを崩して転んだ俺に、元凶であるところの浩紀が跨って、憲治、憲治、憲治と耳元で切なげな声を上げた。
いやいや、その前に謝ろうよ、いろいろと。
人としてどうなの?
立派な大人として。
そう思わないでもないが、正直俺も堪らない訳で。
「風呂、入ってくる」
「やっ」
「汗すげえよ」
「んっ、んっ。憲治の、汗。興奮するよ」
「ふはっ、煽ってんの」
「そだよ。来てよ」
切なげに吐息を漏らす恋人は、据え膳そのものだ。
「土間で?」
「どこでもいいから。畳でも板の間でも庭でも、早く。」
「庭はねえな」
虫にさされる。
笑いながらキスをすれば、躾の悪い舌が俺の唇をぺちゃぺちゃと唾液まみれにしてきた。
不埒なそいつをパクリと補食してじゅっと吸い上げる。
とろけるように甘く柔らかい舌の美味しさに夢中で吸い付いていたら、気の早い浩紀の白い手にズボンを下ろされていた。
次いで自分の下半身も器用に露出させた浩紀の喉に噛みつく。
「ひっ!」
「俺に剥かせろよ」
「っこの、次にどうぞ」
「待ちきれない?」
ふっと熱い吐息を漏らして目で頷いた浩紀の冷たい尻を撫でる。
「……あっ……あ、けんじ、て、ざらざらぁ……」
「痛い?」
「No、ぞくぞくって……っふ……」
割れ目に指を沿わせれば背中をしならせた浩紀の腕が俺の頭を抱く。
しっとりと汗ばんだ肌は、暑さの所為か、それとも興奮の所為なのか。
一年はあっという間だ。
でも、浩紀に会えない一年は長い。
「っあぁ……ぁ……」
俺を受け入れる窄まりは去年のことを覚えているのか、指で触れると喜ぶように蠢いた。
尻をふってそこを押しつけてくるハシタナイ恋人の期待に応えて、指の先をナカに潜り込ませる。
「ん……けんじぃ……けんじ……」
俺だって堪らない。
今日が来るのを指折り数えて一年を過ごしてきたんだ。
早く、お前と繋がりたい。
指に絡みつく浩紀の内側。
熱い。
でも俺もそれに負けない位に熱くたぎっている。
お互いの熱で溶け合っちまいそうだな。