誕生日は

02

徹が急に身を強張らせたのが気に障ったのか、後ろの男の動きが止まった。
耳に差し込まれた舌が離れていく。

ほっと息をついて、尻に力を入れる。
下着が少し湿っているような気がする。

やっぱり、少し零れちゃった……?

纏わり尽くような甘い香りに鼓動が早くなる。
内側に仕込まれたイカガワシイ薬。
その薬の作用、と言うより、公共の場にそんなイカガワシイものを撒き散らかしていることへの焦りや羞恥の所為だろう。

「……っ!!」

急に股間を握られた。

「かわいい」

背後の男が耳朶を噛みながら熱い息を吹き込んでくる。
スラックスの上から形に添って撫でられ、もどかしい快感がじんわりと這い上がってきた。

先程までと違い、男は徹を抱き込むようにぴったりと背中に張り付いてきた。
徹の尻に硬いものがゆらゆらと擦り付けられている。
男の息が荒い。

──興奮している……。

それにつられるように徹の息にも隠しようのない熱が混じってきていた。



かちゃかちゃとベルトが外される。

どうしたら良いのか、戸惑いと共に込みあがってくる言いようのない期待に体が動かない。
耳の中で心臓の音か煩いほど響いている。
羞恥と性感がせめぎあって、徹の息を荒くした。

「あっ」

すっと、下着の中に熱い手が差し込まれた。
直接的に立ち上がったものを握られて、腰が引ける。
必然的に自ら男に密着した形になった。

「積極的だね」

荒い息が徹を蔑む。

「ほら、前のアイツ見てみなよ。君の事見てるよ」

囁きに顔を上げると、確かに、目の前の男と目があった。

「あ……や……」

動揺で目に涙が浮かぶ。
その間にも、ゆるゆると擦られるペニスにあわせて腰が揺れるのを止められない。

「ん…………や、めて……」

荒い息を隠しもせず、徹のほうに手を伸ばしてきた前の男に震える声で懇願する。
それを聞くと益々顔を赤くさせて、男の手が徹のシャツのボタンを引きちぎるように外していく。

「……あ…………ああ……だめえ……」

直接肌に触れる手に、背筋がゾクゾクと震えた。
気持ちが悪い筈なのに、どうしようもなく感じている。
腹なんて普段ならなんでもない部分であるにもかかわらず、驚く程の快感が腰に伝わる。
すっと肌の上を滑っていく男の手の行く先を思うとどうしようもなく高揚した。


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