花の指輪
このお話は子供時代のサブマスが相手で、ヒロインは近所に住むお姉さんという設定です
今日はとても良い天気で私は庭のお手入れをしている
枯れ落ちてしまった葉っぱをほうきで集めていると服の裾を誰かに引っ張られた
「名無しお姉さん」
「名無しお姉ちゃん!」
振り返るとそこには2人の男の子
礼儀正しくしっかり者のノボリ君に明るく元気なクダリ君
2人とも私の事を姉だと呼んでいるけど本当の姉ではなく隣の家の子達で、こうしてよく遊びにやってくる
ロープを差し出してくる2人が何をしたいのかなんて分かっているけど、私はあえてしゃがみ目線を合わせて聞いてみた
「ノボリ君にクダリ君、どうしたの?」
「電車ごっこがしたいのです」
「電車ごっこがしたいんだ!」
性格は違えど双子だからなのか息はピッタリ
「うん、いいよ」
2人の頭を撫でてそう言うとノボリ君は照れくさそうにして、クダリ君はもっと撫でてくれと言う
私はショタコンではないけど、この子達は純粋に可愛いと思う
「ルールを守って安全運転!」
「指差し確認準備オッケー!」
「「「出発進行!」」」
3人でロープでできた輪の間に入り歩き出す
「次は公園、公園でございます」
「忘れ物のないように、ご注意ください」
2人は電車がとても好きなようで、台詞も結構本格的
公園につくと電車ごっこは一旦終わり
私はベンチに座って公園の遊具で遊ぶ2人を見守る
しばらくして、2人は後ろ手に何かを持ちながらこちらに駆け寄ってきた
「名無しお姉さんっ」
「名無しお姉ちゃん!」
「ん?どうしたの?」
「「大きくなったら、結婚して下さい!」」
「あらあら…」
2人はそう言うと同時に、花でできた指輪を差し出してくる
予想していなかったことに驚いたけど、2人の手から花の指輪を受け取って2つ共左手の薬指にはめて2人を抱きしめる
「ありがとう、すごく嬉しいよ」
約束はできないから『いいよ』とは言えないけど…
「さ、そろそろ日も暮れて来たし…帰ろう?」
「はい!」
「うん!」
来た時と同じように3人でロープの輪の中に入り家に向かって歩き出す
…いつか2人が大きくなったら私から離れていくのかと思うと寂しい
でも2人が覚えている私は笑顔であって欲しいから、私は流れ落ちそうになる涙を飲んだ
(歳をとってもわたくし達は名無しお姉さんが好きです)
(だから名無しお姉ちゃん、ボク達とずっと一緒にいてね!)
(ノボリ君、クダリ君…ありがとね)
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