よくある観覧車の噂
私は写真を撮ることが趣味で、今日はライモンシティの街並みを撮影しようとここまできた
街を見渡してまず目に付いたのが観覧車
観覧車からなら良い写真が撮れそうだし、決定!
早速観覧車に乗ろうとわくわくしながらゲートをくぐる
しかし観覧車に乗ろうとすると従業員に一人では乗れないと止められた…
なんで一人じゃ駄目なんだ!
最近は一人○○が流行ってるんだぞ!(多分)
一人カラオケとか一人焼肉とか…一人で観覧車に乗ってもいいじゃない!
ちょっと離れたところから観覧車を眺めていると誰かが話しかけてきた
「キミは観覧車が好きかい?」
「嫌いか好きかだと…まぁ、好きかな」
「ボクは観覧車が大好きなんだ。あの円運動…力学…美しい数式の集まり…」
その人の顔を見た瞬間格好良いと思ったけど次の瞬間円運動がどうのとか言われて私は頭にハテナを浮かべた
なんだかよくわからない人だ
「…っていうか貴方誰?」
「ボクはN」
「私は名無し…」
名前を聞きたい訳じゃなかったんだけど…
しかしこのNっていう人、名前も変わっている人だなぁ…
「ボクも観覧車に乗りたいけど一人じゃ乗れないしね…名無し、一緒に乗らないかい?」
「え?」
初対面の人同士で観覧車ってどうなんだろうとか色々考えてたら手を引かれていつの間にか観覧車に乗せられてた
…まぁ、いいかな?
前後の観覧車にも人が乗ってるしそう変なことは出来ないだろう
しかしNはひじを突きながらこっちを見てくる
…非常に、落ち着かない
「…あの」
「なんだい?」
「私、この街の風景撮りたくて観覧車に乗りたかったんだけど…」
撮ってて良い?と聞くと快く承諾してくれた
それを聞いてカバンの中からカメラを取り出していると今度はNが口を開いた
「この観覧車が頂上に来たときに告白すると2人はずっと一緒にいられるって噂…知ってる?」
「いや…初耳。だけどそういうのってよくある話だと思うけど…」
色んな方向の写真を撮りながらそう返事をする
電波かと思いきや今度は乙女ですか…
やがて頂上につきそうになって、ここで私は街全体が写るようにカメラを構える
よーし、あとちょっと…
3…
2…
1…「ボクは君に一目惚れしたんだ、付き合って欲しい」ゴトッ
シャッターを切るぞーって時に突然そう言うものだから私はシャッターを切った拍子にカメラを手から落としてしまった
幸いカメラに傷はついていないし、写真も撮れてはいるけど…
「ねえ、返事は?」
「返事っていわれても…」
格好良いし、ちょっと揺らいだけど…
この人は電波だし乙女だし、よくわからないし!
うー…と言葉を詰まらせていると観覧車はあっというまに元の場所に戻ってきて、降りた
「返事は次あった時に聞くよ。…またね、名無し」
お互い連絡先とか交換していないし、私は各地を転々としているのにまた会う機会なんてあるのだろうか…
私は今日の残りの時間と次の日にライモンシティのミュージカルやギアステーションで写真を撮ってホドモエシティへと向かった
Nとはその間会わなかったけど、まぁ良いや
とりあえず最初に撮るのははね橋かなと思った…その時
橋の柱に持たれている人が片手を上げて近づいてきた
「やあ、遅かったね…名無し」
…Nが待っていた
あれ、私次にここに来ること話してたっけ?
そして多分…多分だけど次にNはところで、返事は?と言う
「ところで、返事は?」
「いや、お互いまだ相手のこと知らないし…」
「そんなのは付き合ってから知っていけば良いと思うよ」
「それもそう、かな…」
言いくるめられてる気がしなくもないけど…
よく考えれば馬が合わなかったら別れるか、友達くらいになれば良い事か
それに相性が良かったらそれはそれで良いし
「じゃあ…これから、よろしく?」
「うん、宜しく」
(あ、でも私各地を転々としてるからあんまり会えないかも…)
(一緒に行けば良いだろう?)
(…それもそっか!)
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