白糸
 

「あーつーいー…」


蝉が鳴いている暑い夏の日

ななしは特にやる事もなく床に転がってゴロゴロとしている

すると襖がスッと開かれた


「ななし」

「んー…?それ、何ですか?」


ななしは光秀がやってきたのでゆっくりと体を起こす

そして光秀が持っている物を興味深そうに見る


「素麺ですよ。そろそろ小腹も空く時間ですし、一緒に如何ですか?」

「はい、頂きます」


そして二人は素麺を食べ始めた


「暑い日の素麺って良いですよね〜」

「そうですね。…ななし、あーん」


ななしは差し出された素麺を照れくさそうに少し戸惑いながらも口にした

ひんやりとした素麺がななしの喉を通っていく


「ありがとう、ございます…」

「いえいえ。はい、もう一口どうぞ」

「あー…、…む?」


2回目は少し慣れたのか、ななしは差し出されたと同時に口に含んだ

しかし素麺だと思っていたそれは素麺のようにツルッとはしておらずパサッとしていた

怪しい笑みを浮かべる光秀に不思議に思い視線を下ろして今口に入れているものを確認する

そしてそれが何かを確認するとななしはそれを吐き出した


「ぺっ…!な、何食べさせてんですか!?」


なんとそれは光秀の髪の毛だった


「ちゃんと綺麗に洗っていますよ」

「洗ってても嫌です!まったく…」


吐き出さずに噛み千切ってやればよかったとななしは頭を抱える


「ンフ、フフフフ…」


光秀が笑い始めたので今度はなんなんだとななしは顔をあげる

すると彼は自分の髪を…さっきまでななしが口をつけた部分に舌を這わせていた


「やめーい!!」

「グハッ!」


それを見たななしは渾身の力で光秀を叩き飛ばした


「まったく…いくら暑いとはいえおかしくなりすぎ…」


そして光秀をそのままに自分の分の食器を持ち部屋を出て行った


「あら、ななし。さっき光秀が貴女に素麺を…」

「知りませんっ!」

「(また光秀が何かしたのね)…そうだわ、これから蘭丸君とカキ氷を食べるんだけど貴女も一緒に如何かしら?」

「あ、是非ご一緒させてください」

「いいわ。じゃあ、行きましょう」

「はいっ」





END




戻る

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -