この話には光秀が2人出てきます
所々に少し破廉恥な発言があるので、大丈夫な方だけお読みください










「はぁ…はぁ…っ」

「どうしました?そんなに息を荒くして…あぁ、発情s「してませんっ!」」


膝に手をついて肩で息をするななしは妙なことを言おうとした光秀の言葉を遮って大きく息をついた


「っていうか…五十戦以上も連戦してるのに、どうして光秀様は息ひとつ乱していないんですか…」


光秀とななしは今大武闘会に出場している

そして勝ち進んで行き既に五十連勝以上していたのだが、ななしの体力がそろそろ限界に来ていた


「鍛え方が違うのですよ。ななしはもう少し体力をつけたらどうでしょうか?」

「これでも体力はある方ですけど…こんな連戦は流石にキツいですって」

「それに貴女…夜の営みはたった2、3回で音をあげるじゃないですか。5回はいけるようn「私ちょっと休憩してきます」」


もう何も言い返す気力が無くなってしまったななしは光秀を放置して休憩所へと向かった

そして休憩所でお茶を飲んで一息つく


「はぁ…生き返る…」

「…ななし」

「げ…」


背後から聞きなれた声がして、ついて来たのかとななしは嫌そうな顔をして振り向くといきなり抱きつかれて驚いて硬直する

普段の彼なら首を絞めてくる(多少加減はされている)のがそうでないのだからななしは尚更驚いた様子だ


「え、な…(明日は槍が降るのか!?)はっ…(ってかいつ着替えたのか知らないけどなんかギリギリな服だし!肌露出しすぎだし…ってあああああ!?服ズレてる!服がズレて乳首出てるじゃん!)は…破廉恥なあああぁぁ!」


光秀がななしを抱きしめたことによって光秀の普段とは違う紐のような服がずれてしまったようで、ななしはありったけの力で光秀を突き飛ばす


「あ゛(仕返しされちゃう…!)…ご、ごめんなさい!」

「ふ、ふふ…ななしは恥ずかしがり屋さんですねぇ…それが貴女の愛情の表現の仕方なら仕方が無いのですが…」

「本当にごめんなさ…え?」

「相手に愛情を伝えたい時は…こうした方が良いと思いますよ」

「…っ!?」


ななしは思っていたのと違った反応だったのとよく分からない事を言われた事により不思議そうな顔をする

そして再び抱きつこうとしてきた光秀をギリギリのところで避けて距離を取った


「わ…分かりましたから!以後気をつけます…」

「本当に分かったのですか?」


その言葉にななしはコクコクと首を縦に振る


「では…やってごらんなさい」

「はぁ!?(いや、服ズレたままだしまだ乳首見えてるし出来ないし!)」


さぁ、と両手を広げて待つ光秀を見てななしは更に距離を取った


「いや…その前に服直してくださいよ」

「おや……、…舐めますか?」

「なんでそうなるんです!?舐めませんよ!」

「…では吸いますか?」

「吸いもしません!!」

「あ、じゃあ噛みますか?」

「もー、何もしませんってば!」

「…放置プレイですか。それも良いでしょう」


服を直すのかと思いきや更に服をズラしながら乳首を指しながら言うものだからななしはかなり引いた

そしていつもとは違う光秀に頭を悩ませる

いつもは加虐性愛的なのだが今はそうでない

…変態なのは変わらないが


「…もうそろそろ次の試合が始まるんじゃないですか?」

「ん…あぁ、そうですね。行ききましょうか」

「私もですか…」


光秀は武器を片手にとり、もう片方の手でななしの腕を掴み半ば引きずるように歩き始める

そしてななしは光秀の武器といえそうにないような武器を見て驚く


「(え…何これ、楽器?これで戦うの?鎌は?)」




闘技場に戻ってきた二人は対戦相手を待つ

しかし中々相手は出てこず、光秀は暇だと言ってななしに後ろから絡みつくように抱きつく


「…(おかしい、絶対何かおかしい。明日は槍が降る…)」


普段光秀が暇だと言う時はななしの事を鎌を持って追いかけまわしたりなどのちょっかいをかけるのに、

これはただ事じゃないとななしは考えているとようやく相手が出てきた


「あ、やっと来た…って光秀様!?」


向こうからやってきたのはいつもの衣装で桜舞を構えた光秀だった

ななしは混乱して自分の後ろにいる光秀と前にいる光秀を見比べる


「これはこれは…随分と私にそっくりな方ですねぇ」


相変わらずななしに絡みつきながら言う光秀にもう一人の光秀は不愉快そうな顔をする


「……どこの忍かは知りませんが…ななしを放しなさい」

「(あ、忍が変装してたからおかしかったのか!)」


それを聞いたななしは化けの皮を剥がそうと後ろにいる光秀の髪やら頬やらを引張ったりするが…取れない


「…あれ?」

「っふふ、積極的ですね…そんなにあちこち触られては欲情してしまいますよ?」


これは忍とかではなく本物…しかし身の危険を感じななしは青ざめてその光秀から距離をとる


「ななし、その者から離れてこちらへ来なさい。貴女は私の大切な…玩具でしょう?」

「え、それ…酷くないですか!?」

「何を言っているのですか?ななしは私の愛しい…愛玩動物ですよ」

「それも嫌です!」


途中までは胸がときめくような台詞でも最後ので台無しだ

どっちも嫌だと頭を抱えるななし

するとプツンと何かが切れた音がした…ような気がした


「フフ、フハハハ……死ねっ!」


いつもの格好の光秀はもう一人の光秀に切りかかったのでななしはさっと目を背ける

しかし聞こえた音は肉が切り裂かれるようなものではなく、固いもの同士がぶつかり合う音だったのでそっと視線を戻す


「え、何これすごい(楽器で鎌受け止めてる…!)」

「おぉ怖い…殺されてしまいそうですねぇ…」


そしてそのまま攻防を続ける二人

ななしは手を出そうにもどちらも(片方はいつもとちょっと違っていても)光秀なので手の出し様が無くて傍観している


「クッフフフ、アーッハッハハ!」

「フハハハ! 笑いが止まりませんよ!」


目の前で繰り広げられる混沌とした闘いを遠い目をしながら見る

どうすれば良いのだろうかと考えているといつもの光秀の攻撃がもう一人の光秀に当たった


「くっ…」

「…光秀様!?大丈夫ですか!?」


ボーッとしていたななしはよろめき膝をついたもう一人の光秀に駆け寄る

紐のような服が破れて大変な事になっているのは今は気にしない

そして両方の光秀に対して言葉を放つ


「もう…もうこの闘いは中断しましょう!」

「平気ですよ、このくらい…」

「私はまだ殺し足りませんしねぇ…」

「でも私…どっちの光秀様でも、光秀様が傷つくのは見たくないです…」

「「……」」


そう言って涙を滲ませるななしを見て二人の光秀は顔を見合わせる


「まったく、しょうがないですねぇ…」

「ほら…そんなに泣かないでください」


いつもの光秀は肩を竦めてため息をつき、

もう一人の光秀はななしの涙を優しく指で拭う


「しかし…ななしの泣き顔はとてもそそられますね」

「おや、貴方…わかってるではないですか」

「「…二人で獲物を分け合いましょう」」


安心して涙をぐしぐしと拭っているななしにこの会話は聞こえていなかったようだ

そして二人はななしを自分達の間に挟みななしの肩を抱いて歩き出す

怪しく笑う二人をななしは交互に見やる


「あ、怪我…もう大丈夫なんですか?」

「言ったでしょう?このくらい平気だと…」

「ななしは大袈裟ですからねぇ」

「って、あれ…褒章受け取らないんですか!?」

「そんなもの、どうでも良いですよ」

「もっと良いものがここにありますし…」


歩みを止めて自分を見てくる二人にななしは恐る恐る自分を指して首をかしげると二人は頷いた

それを見たななしは青ざめて二人の手を振りほどき逃げ出す


「い、いやいやいや…冗談でしょう!?」

「おやおや、私達から逃げられるとお思いですか?」

「ンフフフ…獲物を追い詰めるのは実に愉しいですよ…!」

「いっ…いやー!!」





END




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