「なまえさん!!!」
俺の先輩の、なまえさん。
中学の時の演劇部部長だった、そして…
俺の親友の彼女。
そのなまえさんに声をかける。こちらを振り返る時に揺れた髪の毛は、烏の濡れ羽の様に艶やかな黒。
なまえさんには、部活で初めて会った時に、一目惚れした。
親友____勇気の彼女ってことは聞いていたけど、諦められない。
もう、さっき宣戦布告してきたところだ。
勇気に、喧嘩を売ってきた。
「どうしたの?堀ちゃん」
…俺の名前の呼び方さえ、勇気に似てくる。それが何故か、すごく嫌で。それほどまでに彼女にのめり込んでいることがわかった。
「あの、さっき勇気と話してきたんですけど。」
「勇気と?演劇の話?」
「俺、なまえさんのことが好きです。」
___________なまえさんが勇気が好きだってことは分かっている。
「えっと…私、勇気と付き合ってるけど…堀ちゃんも知ってるよね?」
「知ってます。でも、俺諦めませんから。」
絶対に。ここで諦めるなんて男が廃る。
「俺、演劇でも、恋でも、勇気に負けませんから。」
「…そっか」
「だから、」
_奪いに行くんで覚悟してて下さいね_
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