▽焦らして焦らして焦らして焦らした上で焦らした結果
俺の彼女は年上だ。
俺が高校三年生。そして、彼女__みょうじなまえさんは社会人1年目、浪人もしてないから23歳だ。
5歳差というのもあり、なまえさんには逆らえない。
「ねー政行ー膝枕してよー」
「は、はぁ!?膝枕…っすか!?」
「きゃー照れてるー!ウブだねー!」
「〜〜〜なまえさん!!」
けたけたと笑いながら俺の膝に頭を乗せてくるなまえさん。
見下ろした時独自の顔の見方が出来た。
髪の毛がこしょばゆい。
綺麗だと思いながら、なまえさんの夜空の様に黒い髪の毛を鋤く。うっは、サラサラ。
なまえさんは擽ったいのか、身を捩らせた。
その行為さえ、愛おしい。
そう思うのは余程彼女に惚れているからだろう、その事を身をもって実感した。
こうまじまじと彼女を見る機会は無かったから、ついついじっと見てしまう。
自分が今触っているサラサラの黒い髪。人形の様に長い睫毛。透き通った白い肌。そして、太過ぎず細過ぎずスラッと伸びた綺麗な脚。
彼女の容姿も、性格も、仕草も。全てをひっくるめて大好きなんだ。
我ながらベタ惚れだなぁ、とそんな自分を嘲笑う。
気持ち良さそうに俺の膝に乗るなまえさんは無防備にも程がある。
そのまま唇を付けようとすると押さえられた。
「だーめっ」
「なんれれすか」
唇を押さえられてるため、上手く喋れない。
「お預けー?」
屈託のない笑顔でそんな顔をされると困る。俺がその顔に弱い事を知っていてやっているんだから。この確信犯め。
でもキスしたいんだから仕方ない。もう少し顔を近づけてみる。
「だーめっ」
「いいっすか?」
「まだー」
「いい?」
「まだー」
この繰り返し。それでもめげずに押してみる。
_________
何分たったろうか。
未だに俺はなまえさんにキスさせてもらえない。
「まだー」
ニヒヒと笑う彼女は、俺をからかって楽しんでるようだ。
…こんな所、絶対鹿島にも野崎にも見せたくない。
鹿島だったら、なまえさんと一緒になって俺をからかってくるだろう。
野崎だったら、「ネタ提供ご馳走さまです!!」と言ってネームを描くのだろう。
そんなの絶対嫌だ。
「んー…政行もう限界?」
「限界です。」
「即答かぁー、面白いよね政行は。…いいよ、もう」
そう言って唇から手を退けられた瞬間、彼女を組み敷き、桃色に染められたその唇に貪るように自分の唇を重ねた。
「んっ…ふっ」
組み敷かれたことに驚いたのか、空いていた口に舌を入れる。
歯列をなぞる様に舐め上げれば、いつも話すより高めの声を出す。
唇を離せば、繋がる銀色の糸。
それを舐めとると、なまえさんは林檎飴の様に顔を真っ赤にしていた。
150717
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