甘酸っぱい嘘つき
コロコロ…と目の前の床をオレンジ色の球体が横切っていく。
それは部屋の端まで転がると、壁にぶつかる前にUターンしてコロコロ転がって転がした人間の元に戻る。
球体が戻っていった場所、そこには茶髪の男が座っていた。
男の手に収まった球体は、また転がされる。
コロコロ…コロコロ…。
先程からずっと何回も続けられている光景……そろそろティエリアの苛つきは頂点に達そうとしていた…。
「ロックオン!!目障りなのでやめて下さい」
座っていたベッドから立ち上がって、床を転がっている球体をむんずと掴み上げた。
「イタイ!ロックオン、タスケテ!タスケテ!」
悲鳴を上げ助けを求める球体に、更に気分を害され、掴む手に自然と力が入る。
その行動に床に座っていたロックオンは立ち上がり、ティエリアの手から相棒を取り上げた。
「こーら、ティエリア。ハロをいじめなさんな。可哀想だろ?」
彼の腕の中に収まったハロはパタパタと耳を動かしている。
その言葉を無視して、ふんっとそっぽを向いたティエリアは、再びベッドに腰かけた。
ハロを部屋の隅に置き、ロックオンもティエリアの隣に腰かける。
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