Strategy-作戦-

ザーッという雨の音が聞こえる中、立海大附属中のメンバーと合流した跡部と忍足は、東にある観光協会の中にいた。


部屋の中央に置かれたテーブルを囲むようにして跡部、忍足、丸井、ジャッカルが立っており、その中心にパソコンと向き合う柳がいた。


ただ一人、仁王の姿がなかったが、柳達は今後の行動について話し合っていた。


「どうだ?柳」


ジャッカルが聞くと、柳は少し考え込んだ後、首を振った。


「分校のパソコンに侵入することはできたが、首輪の爆弾の解除まではできそうにない。…ショートさせて一時的に止めることはできるが、それでは脱出できない」


柳の言葉にブン太は深いため息をつく。


「マジかよ…じゃあどーすんだ?これ付けてたら坂持、倒せねーじゃん」


ブン太が自分の首に付けられた爆弾を示して言うと、忍足が口を開いた。


「せやったら、首輪の爆弾を一時的に止めてその間に分校襲撃したらええやん。分校の中のパソコンを使えば首輪を外すこともできるんとちゃう?」


しかし柳はまた首を振った。


「分校には軍人らしき人間が最低でも20人近くはいる。それでは間に合わない」


するとそこでずっと壁によりかかって腕組みをしていた跡部が口を挟んだ。


「どうしてわかる?」


だがその問いに答えたのは柳ではなくジャッカルだった。


「最初に分校を出た幸村が、外で俺達を待っている時に見たらしい。一階の奥の教室に10人ほど軍人がいるのを」


「幸村が?」


「真田も反対側の通路に見張りらしき男がいたと言っていた。…集合していた教室にいた軍人の数も合わせれば、たぶん20人くらいいるってことだ」


「……」


「そんなにおったらまず勝ち目ないで…。立海と氷帝の人数合わせても、不利や」


「ああ」


「そういや、今残ってるのって俺達以外に誰がいるんだ?」


ふとブン太が言い、ジャッカルはしばらく考えた後、答えた。


「立海のメンバーでは出てった仁王と赤也、それとユキだな」


「氷帝は?」


「宍戸と鳳がおるはずや。それと、ジローやな。…宍戸たちは一緒におるかもしれんけど」


「あとは……」


「越前だ」


跡部が言い、ジャッカル達は無言で頷いた。


「やる気になってる千石と亜久津を除けば、あとは越前しかいないな。…あいつもどうなのかわからねぇが」


「越前か…あいつ一人で行動してんのかな」


「たぶんな。青学はもう越前一人だし」


「せやけど、もしかしたらユキちゃん達と一緒におるかもしれへんで」


「それはないな。赤也は絶対俺達以外の人間は信用しねぇし、出会ったとしてもすぐ離れるだろう」


ジャッカルの意見にブン太もそうだな…と言って頷く。


「宍戸たちと越前が出会ってれば、一緒に行動してる可能性もあるだろうが…どっちにしろ居場所はわからねぇしな」


「…結局打つ手なしか。どうすんだよ。なあ柳」


ブン太は困ったように参謀、柳を見る。


と、そのとき、柳はふとパソコンの画面に映し出された文字に目が止まった。


そして、しばらくの間画面に見入っていたが、やがてパソコンの電源を切り、閉じた。


「とにかく今は仁王の帰りを待とう」


それだけ言って柳は置いてあった地図に目をやった。

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