悲しみの不協和音

同じ頃、分校近くの森の中には氷帝学園の宍戸と鳳がいた。


放送を聞いて立海の3人の名が上げられたことに驚愕していた。


「まさか…あの3人が死んだってのかよ…っ」


「信じられません…」


「…切原の名前もあったな」


「…はい」


「……」


宍戸の脳裏にユキの顔が映る。


氷帝に遊びに来るといつも決まって立海の話をするユキ。


中でも同じクラスの切原赤也の話は必ずと言っていい程する。


自分の親友なのだと、とても嬉しそうに話していた。


ユキと頻繁に電話やメールのやりとりをしてる忍足は、耳にたこができそうだと呆れていた。


それくらい…アイツらは仲が良かった。


親友を失って、ユキはどうしているんだろうか。


二人一緒にいたのか…


それとも離れ離れになってたのか…


わからねぇが。


「宍戸さん」


ふと鳳の声がして宍戸は我に返った。


「何だ?」


「誰かこっちに来ます」


「!」


鳳が指差した先、木々の間にチラリと人影が見えた。


小柄な少年だ。


一瞬ジローかと思ったがジローにしてはやけに小さい。


だがアイツより小さいとなると…


「越前…か?」


「みたいですね」


もう一度目を凝らすと、やって来るのは確かに青学の生き残り、越前リョーマであった。


怪我をしているのか、左足を引きずり、右肩を押さえながら歩いている。


武器らしき物は見当たらない。


というより、何も持ってないのだ。


ディパックも見当たらない。


満身創痍といった感じで時折よろめきながら歩いている。


「……」


少し迷ったが宍戸は鳳に合図を送り、リョーマに声をかけた。


「おい!」


一応用心して背中で銃を握る。


「アンタ…氷帝の……」


声をかけられて初めてリョーマは宍戸達に気づいたようだった。


それで宍戸も気づいたのだが、リョーマの右目の上が切れ、大量に出血していた。


明らかにナイフか何かで切られた傷だ。


「お前…」


「……」


リョーマはチラリと二人を見て、そしてふらっと前に倒れた。


「お、おい!!」


宍戸と鳳は慌ててリョーマに駆け寄った。

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