堕ちた帝王
ゴォオオオ…と燃え上がる炎を丘の上から見ているのは、氷帝学園8番の宍戸亮と9番の鳳長太郎であった。
「すごい炎ですね…」
「誰かが戦り合ったのか…?」
二人は今まで同じ氷帝の仲間を探して島を歩き回っていたのだが、誰とも出会えず元いた南へと戻って来ていた。
昨日の夜に青学の生き残りである越前リョーマと出会ったものの、和解は出来ず、銃撃戦となってしまった。
氷帝の生徒である芥川に襲われたリョーマは、芥川と同じ氷帝の二人を信用する事が出来なかったのだ。
二人はどうにかしてリョーマを説得しようとしたが、銃声を聞きつけやって来た亜久津によって、リョーマは殺されてしまった。
二人は命からがら逃げ出せたものの、それ以来、誰とも会っていない。
「もうすぐ6時になりますね、宍戸さん」
「…ああ」
一体今度は誰の名が呼ばれるのか。
もう生き残っているのは自分達を含めて12人しかいない。
山吹の亜久津、氷帝の跡部、忍足、ジロー、そして立海のユキ、切原、丸井、ジャッカル、柳、仁王だ。
そう思っていると、あの忌々しい声が聞こえた。
『はーい、午前6時になりましたー。生きてますかぁー?死亡者の発表するぞー。今回も多いなぁ…。山吹中5番・亜久津仁、氷帝学園2番・忍足侑士、同じく6番・芥川慈郎、立海大附属中3番・柳蓮二。以上4名』
「忍足とジローが死んだ!?」
「まさかそんな…っ」
二人は驚愕の表情を浮かべ茫然と立ち尽くす。
「なんで二人が…」
そう鳳が呟いた時、
「!?」
ザッと足音がして、二人は振り返った。
1/5