ゼロへの選択〜邪聖の旋律に翻弄された帝王〜
それは、地獄の門が開く警告(Bell)だった。
政府関係者から告げられたのは、あまりに非現実的な…
だが、決して逃れることは出来ない、死のゲームの開幕だった。
渡されたメモが絶望の島への招待状に見える程…俺の日常はあっさりと崩れ落ちた。
最初はタチの悪い冗談か…怪しい宗教への勧誘だろうと思っていた。
ルールブックだと言って渡された手帳も全く信じちゃいなかったし、そんなもんに付き合うほど俺様は暇じゃねぇと、さっさとその場を立ち去るつもりだった。
だが…
頭につきつけられた銃を見て、これは全て事実なんだと思い知らされた。
ルールブックに書かれていたのは、とある腐ったゲームの説明。
部活の合宿を利用した、計50人で行われるバトルロワイアル。
そしてその50人とは、氷帝、立海、青学、不動峰、聖ルドルフ、山吹…各校の男子テニス部とそのマネージャーだった。
…ゲームの優勝者は2人。
つまりこの50人の中で2人しか生き残れないという訳だ。
氷帝学園部長である俺と、立海大附属中のマネージャーであるユキが生き残るには、他の奴等全員を皆殺しにするしかない。
…よりにもよってその中で2人しか選ばれない"特待生"に、俺は選ばれた。
特待生ルールってのは笑っちまうくらいよく出来た代物で、事前にプログラムを阻止することも、誰かに助けを求めることも出来やしねぇ。
プログラムのことを誰かに話せば、俺も話した奴も消される。
それに、政府が絡んでるとなると警察も頼りにならねぇ。
…何より絶望的だったのは、特待生ルールの四行目に書かれた≪条件≫だった。
"四、条件として≪立海大附属中のマネージャー、跡部ユキの殺害≫を命じる。"
政府ってのはどこまで腐ってんだろうな。
この俺様に実の妹を殺せと言ってるんだ。
…出来る訳がねぇってのを承知で。
奴等は俺達を踊らせて楽しんでいるだけだ。
国への思想だとか、そんなもん持ち合わせちゃいねぇ。
奴等にとって俺達はガキの玩具と同じだ。
好きなように踊らせて、弄んで、壊れたらゴミ箱行きだ。
下らねぇゲーム……ただそれだけだ。
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