すれ違いの兄妹
『死亡者は山吹中4番・室町十次、6番・壇太一以上。それから禁止エリアは7時からA‐7、9時からI‐6、10時B‐5からでーす』
「……」
死亡者と禁止エリアのチェックをして、ユキはため息をついた。
これでもう残るは24人。
聖ルドルフ、六角は全滅。
青学、山吹はほとんど壊滅状態。
不動峰は半数だ。
氷帝ですらすでに2人死んでいる。
「…みんな」
幸村達がどこにいるのかユキにはわからないが、一人の死者も出ていないのは奇跡的だった。
全員一緒にいるのか、何人かでまとまっているのか…
いずれにせよ、どこかに身を隠しているのだろう。
だがこれだけ死者が出たとなるともはや隠れているのも安全とは限らない。
禁止エリアによって場所も絞られてきている。
初日からずっと歩き回っているのに、何の手掛かりも掴めていない。
最初に会った神尾と杏の二人以外には、誰とも会っていないのだ。
「もう島の半分は探したんじゃねぇ?」
「うん…すれ違った可能性もないとは言えないけど、誰にも会えないなんて」
二人は木々に囲まれた草むらの中、少しの休憩をとっていた。
もう足も限界が近づいておりクタクタだ。
どこだったか、体力的に厳しくて家から持って来た荷物は、必要な物だけディパックに詰めて捨ててきた。
ユキのリュックは兄・景吾からの貰い物だった為、何とか頑張って持って行きたかったのだが、赤也に言われて仕方なく置いて来た。
「あと行ってないの東かな。灯台とか診療所とかある方」
「だよなぁ…どっち行くか」
「もうだいぶ禁止エリア入っちゃって通れないし。回り道しないと灯台は行けそうにないね」
「うーん…」
赤也は腕組みをして考え込む。
「……」
しばらくして赤也はディパックを背負って、ショットガンを肩から吊った。
「とりあえず一番近い観光協会って所行ってみるか」
「うん」
ユキも頷き、二人は東へと向かった。
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