蒼い蒼いあの空へ

3日目0時、島中に坂持の声が響き渡った。


『2日目終了でーす。なかなかいいペースで先生嬉しいぞー。えー死亡者は二人。青春学園S2大石秀一郎、同じく3番・菊丸英二。禁止エリアは2時からI‐2、4時からB‐7でーす』


プツンと放送が終わると同時に、ユキは愕然とした表情で膝をついた。


「そんな…あの大石君と菊丸君が…死んだ?」


信じられない。


練習試合の時だって、あんなに楽しそうに笑ってたのに…


「ユキ、少し寝とけよ。俺、起きてっから」


「赤也…」


「明るくなる前にまた移動するからさ。今の内に寝ろよ」


「赤也は?寝ないの?」


「念のため見張りしとく。」


「じゃあ私が起きてるよ。赤也、ずっと寝てないでしょ?」


「平気だって!」


「私は展望台でたくさん寝たから。…だから赤也、少し休んで?」


「けど…」


「大丈夫。ちゃんと…見張りするから。心配しないで?」


「……」


赤也はしばらく悩んだが、やがてはぁ…とため息をついて休むことにした。


「俺ちゃんと起きっからさ、あのスプレー使うの禁止な」


「フフ…わかったわ」


赤也はほっと胸をなで下ろして目を閉じた。


よほど疲れていたのだろう、すぐに赤也は眠りに落ちた。


「……」


ユキはリュックの中からカーディガンを取り出して、そっと赤也の体にかけた。


「…お兄ちゃん」


ポツリと呟いて頭へと手をやる。


氷帝に入学する時に兄から貰った髪飾り。


どこかの国のたいへん高価な髪飾りらしいが、そんなことは正直どうでもよかった。


安かろうが高かろうが、ただ"兄からの贈り物"だということがユキには嬉しかった。


入院中も兄から様々な物を貰ったが、いつも身に付けていられるこの髪飾りが一番のお気に入りだった。


これを付けていると、どんなに遠く離れていても、いつも兄と一緒にいるような気がしたから。


「…お兄ちゃん…会いたいよ…どこに…いるの?」


零れ落ちそうになる涙を拭い、ユキは空を見上げた。


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