異変
学校へ着くと正面玄関に、赤也、ブン太、ジャッカルを除くレギュラーがいた。
「幸村君!」
「やぁユキ、おはよう」
「おはよう。間に合った?」
少し息を切らしながら言うと、幸村はニコッと笑って時計を見た。
「大丈夫だよ。まだあと10分あるし」
ほっと胸をなで下ろすユキだが、即座に真田の厳しい一言が発せられた。
「もう少し余裕をみて出て来んか!」
「うっ…ごめんなさい」
と、そこへブン太とジャッカルがやって来て、残すは赤也のみとなった。
「遅いなぁ…赤也。また寝坊かな」
ユキは時計を見ながらソワソワする。
昨日の夜、明日の確認の電話をしたのだけれど、またゲームでもやっていたんだろうか。
「ヤベぇぞ。あと2分しかねぇ。もうすぐバス来ちまうぜ」
ジャッカルも焦っているようで何回も時計を見直している。
「どーすんだよ。今日は氷帝の連中と一緒に行くんだろ?」
「ああ…」
皆が心配する中、とうとう迎えのバスが来てしまった。
中から担当者とおぼしき男が降りて来て、幸村達を誘導する。
「乗って下さい」
そう言われるも、未だ人数は揃わず。
「すいません。少しだけ待ってもらえないでしょうか?もう一人来るんです」
幸村が何とか時間稼ぎをしていると、遠くからおーいっ!!と言う声が聞こえた。
見ると、問題の赤也が荷物を背負って走って来る。
「赤也!急いでー!」
ユキが叫び、赤也はバスが止まっているのを見て、ヤバッ!と焦る。
「スイマセーン!俺もっ!俺も乗りまーすッ!!」
ギリギリ間に合い、バスに乗り込んだ赤也を待っていたのは、真田のげんこつと、幸村の黒い笑みであった。
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