席替えって嬉しかったり、嫌だったりとその時の状況次第
今の席は嬉しいけど、緊張し過ぎて困る
授業中指されて
戸惑っていたら
助けてくれた
同じクラスに好きな人が出来た時、隣になりたいって前まで思っていた
でも実際、なってみるとこんなにドキドキするなんて、正直授業どころじゃない
これじゃあ、離れた席からその後ろ姿を見ていた頃が良かったかも・・・
それでも好奇心のようなよくわからない物に負けて、隣の席をチラリと見れば、
想い人である神くんの横顔が見えて、その端正な横顔に瞳を奪われる
窓際1番後ろの席は日光がよく当たる上に、本来なら眠くなるはずの午後の授業なのに、全く眠くないのは間違いなく神くんのせいだ
そう思ってしまうのは、ろくに話した事もないくせに、神くんに恋をした盲目的な乙女心のせいなのか
(色白いなぁー)
(肌綺麗だな)
(やっぱりバスケ部だけあって背が高いな)
、と考えてしまうのはやっぱり神くんの事
「じゃあ、次を・・・名字」
「は、はい!」
ぼーっと神くん鑑賞に浸っていたせいか、突然先生に当てられた
自業自得だけれど、何を言われているかがわからない
今は現国だから多分音読しろって事なんだろうけど、え、今何処してるの?
わからなくて慌てていると、隣から小さく名前を呼ばれる
呼ばれた方に顔を向けると、神くんが場所を教えてくれていて、軽く一礼して応えるように急いで教科書を呼んだ
「神くん、本当にありがとう」
指定場所まで、読み終えて椅子を引いて席に座る
一応まだ授業中だから、先生にバレないようにこっそり話しかけて
「いいよ、困った時はお互い様だし、何より俺、名字さんの声好きだからね」
お礼を告げると、神くんは柔らかく微笑んだ
ああ、その笑顔好きだなーって、恋のフィルターがかかったような頭で考える
そのせいで、聞き逃してしまう所だった
「え、(い、今、何と・・・)」
「ん?あ、聞こえなかった?名字さんの声好きだな、って」
(ぎゃ!二回目!す、好きって意味が違うけど照れるよ)
「わ、私も神くんの声、好きだよ?」
(というか神くんが好きです、って、あー!何言ってるんだ私!そして何なんだ、この展開)
「ん、ありがとう。普通に嬉しいよ」
(そして神くんも何、言ってるんですか!そんな事言われたら期待しちゃうんですが)
「じ、神くん」
間違いなく今の自分の顔は、赤いはず・・・それでもこんなチャンス滅多にないから逃すまいと、再び声をかけようとした
その時、無情にも授業の終わりを告げるチャイムが鳴って
がっくり、と自分の落胆が肩に表れる
折角、神くんと話せたのに、ってチャイムを恨まずにはいられない
へこんだ気持ちで授業終了の挨拶をして、取り敢えずもう一度席についた
「名字さん」
「な、何?」
あれで、会話は終わりだと思っていたから、まさか、神くんから話しかけて貰えるとは思ってもみなくて、吃ってしまう
「チャイムに邪魔されたし、続き話そうか」
「う、うん!」
(こんな特典があるならば、隣の席って最高です!)
Title:確かに恋だった
END
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