もし、この想いを告げる日が来なかったとしても
私は、後悔しないでしょう

でも叶うなら一度だけ、そう思うのもまた事実なのです





ねぇ、一度だけ
言わせて
(嫌いじゃなかったってことと、好きだったってこと)






「名前」

「何ですか?骸さん」



私の目の前にいるのは骸さんだけど、骸さんじゃない
矛盾しているようだけど、それは本当の事で紛れも無い事実



「・・・君は何を怒っているのですか?」

「・・・」

「・・・名前」



諭すように、でも優しい骸さんの声


多分、骸さんは鋭いから私の不機嫌な理由もわかってる


でも私は自分の不機嫌な理由を認めることが出来なくて


(私が髑髏ちゃんに嫉妬してるだなんてそんな事・・・)


だから、ただ目を背けようとしてたんだ


自分の気持ちからも
骸さんの視線からも


なのに目の前の骸さんの姿はまるで、逃げる事は許さない、とそう言ってるようだった



「名前、いい加減素直になったらどうです?」

「な、何がですか?」


私の答えに骸さんはため息を一つ


「はっきり言えば良いじゃないですか。クロームが邪魔だと・・・」

「っ、言えるわけがないです!」

「そうですか?もし名前がクロームを邪魔だと思っているのなら、クロームには悪いですが僕は嬉しいですよ?」

「どうしてそんなことっ!」

「まだわかりませんか?僕はクロームではなく、名前、君を愛しているんです」


「やだ!嘘!」

「嘘じゃありませんよ。あぁ、もう時間がない」



何故か今にも泣きそうな私に、名残惜しそうな顔をする骸さん


そっか、もう入れ代わっちゃうんだ・・・



「名前、お願いです。君の気持ちを君の言葉で言って下さい」



骸さんがらしくない顔をしてる
悲しそうな、懇願するような顔
そんな顔をさせてるのは私なんだ
そう思うとずっと言えなかった事が自然と言えた



「骸さ、ん。好、きです、誰よりも」


言い終わるか終わらないかの時、私の唇は骸さんのソレで塞がれた



(一度だけと思っていたのに私は欲張りです)

(いいえ、一度と言わず何度でも言って欲しいですよ)


Title
夜風にまたがるニルバーナ


END