愛だの恋だの興味なかった僕が、初めてソレを知ったのは君に出逢ってから
だから歪んでようと、僕の自己満足だろうと君を手放すつもりは更々ないんだ





保障頂戴何処にも
えたりしないって!
(そんなの出来
やしないでしょ)





初めて名前チャンに会ったのは、どっかのファミリー主催のパーティー
普段なら絶対そんなつまんないのに出たりしない
でも、その時はほんの気まぐれで出席した



そう、なのにそこでまさか手に入れたくて、恋い焦がれるような存在を見つける何て思いもしなかったよ



それからは簡単だった
名前チャンがいたファミリーにちょっと脅しをかけただけ



そんな事を知らない名前チャンは酷く驚いてたけどね



最初こそ「帰して下さい」と泣き叫んでた彼女も、次第によく笑うようになった


いきなり連れて来られて閉じ込められたんだから、まぁヒステリーになるのも無理はないかな



「あの、白蘭様?」



名前チャンをずっと見ながら、そんな事を思っていたら名前チャンが戸惑いながら話しかけて来た



「何、名前チャン」

「いえ、ずっと視線を感じるので私に何かご用ですか?」

「いや違うよ」

「はぁ・・・」



名前チャンは納得出来ないとでも言うような顔をしていたけど、僕が特に用はないと言えば取り敢えず黙った



彼女は絶対、僕を呼び捨てにしようとはしない
暑苦しいから様はいらないと僕が言っても、僕を呼ぶ時は必ず様をつける



(それは逃げ出さないように羽を折られた、篭の鳥のせめてもの反抗なのか)



「名前チャン、外に出たい?」



名前チャンが逃げないように付けた彼女を縛り付けるための鎖


(もし、名前チャンが逃げようとしても帰る場所なんて、結局は僕の所しかないのに───それを彼女は知らないまま)



名前チャンがそれをどう思ってるのか何てわからないけどね



「・・・出してくれるんですか?」


何故か、そう言う彼女は悲しそうな顔で


「うん、良いよ。ただし条件付きね」

「条件?」

「そう、出かける時は僕も一緒」


でも僕がそう言えば、安堵したように息を吐き


「はい」と言って、少しだけ笑った



(いよいよ、貴方に捨てられる日が来たのかと思いました。でも白蘭様、例え貴方の気まぐれだったとしても側にいられる時間が少しだけ延びたと思えばそれだけで私は幸せなのです)

(君と見るならこんなにつまらない外の世界も、少しは面白い物に見える気がした。でもこんなに君に依存してるのが僕だけだというのもまた、つまらない。ならばせめて君も、僕の側にいるって保障くらいくれても、罰はあたらないと思うんだけどな)



Title
夜風にまたがるニルバーナ



END