「っ・・どうして?!どうして貴方が此処にいるのよ!!」

足が震える、声が掠れる

でも私の悲痛な叫びも目の前の男には通用しないんだ・・・




れるその
すもの




「どうしてかって?酷いなぁ、名前チャン」



一歩ずつ白蘭が近付いて来る

逃げなきゃって思っているのに身体がいうことを聞いてくれない


ほら、もう白蘭の手の中だ・・・



「今回は随分遠くまで逃げたみたいだね」



笑っているのに威圧感を感じる白蘭の顔
正直、あまり好きじゃない



「っ・・・」



白蘭の手が私の頬に伸びて来て、思わず目を閉じた



「そんなに、身構えられると流石の僕も傷付くなぁ」



嘘ばっかり
そう言って、最初から逃げ道を塞いでいるくせに、
私の行動全てを監視している



「でもまさか君がボンゴレを頼ろうとするなんてね」



少し、低くなった白蘭の声に身体が震えた



「お陰で、そんなに興味のなかったボンゴレを狩る事にしたよ」

「え・・・」

「名前チャンが僕以外に頼る存在なんてこの世にはいらない」



はっきりと、冷たい声で言い放った白蘭に背筋が凍る

でも止めなきゃ、今この男を止めなきゃ大変な事になる



「や、止めて!お願いだからそれだけは止めて!」

「・・・妬けるなぁ」

「なっ?!」

「名前チャンを必死にさせて良いのは僕だけ。だから彼等には組織ごと消えてもらう」

「そっ、そんな」



真っ暗闇に一気に落とされたような感覚
ぽろぽろと涙が頬を伝う



「んー、やっぱり名前チャンは泣き顔も可愛いね」



泣き続ける私を満足そうに抱きしめて、白蘭は言った



「名前チャンが僕から逃げ出そうなんて事を思わなければ、無駄な血が流れる事もなかったかもしれないんだよ」



結局、私がこの男から逃れられる日なんて来ない


(君の涙で揺れる瞳に映るのは僕だけで良い)



END