「はい、次はこの人達消して来て」

彼のそのにっこりと笑う表情と、内容が一致しないのはいつもの事





しさのこう
またしさで
(たとえば君の汚く崩れた部分でさえも)






「・・・今回は随分多いんですね」

「あ、そう?でも、まぁ頑張ってね、名前チャン」

「はい・・・」



いっこうに終わらないボンゴレ狩り
あちらのボスを殺して終わりかと思えば、そうではなく、今度はその友達や家族などまで抹殺指令が出た



そこまでする意味が正直わからない
そう思ってしまう私は、ここまで来て迷っているのだろうか・・・



「名前チャン、今、良からぬ事考えたでしょ?」


自分の考えに浸っていた私の耳に届いたのは白蘭様の声


その声に私は思わず肩を揺らしてしまった


「大丈夫、そんなに驚かなくても名前チャンには何もしないよ」



目を細めて笑う白蘭様
やけに、「私には」を強調した台詞
わかってる、白蘭様が私を処罰したり、責めたりしないってこと
そしてその矛先がボンゴレに向かう事も


でもその理由が私にはわからないのだけれど・・・



「名前チャン、こっち来て」



そんな事を考えていたら、数歩先には腕を広げた白蘭様


おずおずと近づくと白蘭様に拘束された
それから彼は口を開く



「名前チャンは特別だから、ボンゴレ狩りの意味を教えてあげても良いよ」

「え?」


そして白蘭様は、私の答えを待たずに話し出した


「一つ、少し前にボンゴレの下っ端に僕の愛しい子が怪我をさせられて帰って来ました」



「二つ、跡が残る程深い傷ではなかったけれど、痛がっていたから僕は暫くその子を抱けませんでした」


「まずこれだけでもボンゴレは万死に値するよねー」と笑う白蘭様だったけれど、あまり目が笑っていない


「じゃあ何故、そんな大事な子をボンゴレ狩りに出すのか、それは極めて簡単だよ」

「?」

「今、僕のファミリーに抵抗出来たのはボンゴレだけ・・・まぁ呆気なかったけど。そこを隅々まで潰すことで、名前チャンの行く宛てを完全に無くすためだよ」

「何を今更・・・私はとっくに白蘭様の物なのに」


そう今更なのだ
だから私がボンゴレに行くなんて有り得ない


「そう、君は確かに僕の物だよねー。でも名前チャンは急にフラッとどっかに行っちゃいそうだからさ」



「だからソレ予防に名前チャンにもボンゴレ狩りに出てもらってるんだよ。と言っても全て僕の目の届く所だけね」


そう言い終わると白蘭様はリップ音を立てて、私の頬にキスをした


(あぁ、白蘭様。貴方の行き過ぎた独占欲もまた愛おしいと思う私も汚いのかもしれません)

(逃がしはしないよ、例えこのまま僕が歪み続けたとしても)


Title
夜風にまたがるニルバーナ



END