もっと早くに君と僕が出会えていたなら
こんな風に傷付ける事も泣かせる事もなかったのかもしれない



限界破裂
(悪夢だなんて言わせない)





僕の部屋で、僕と君の二人きりだというのに、僕以外の男の事を考える君に、何とも言えない黒い感情が沸き上がって



「白蘭様、どうして正ちゃんが日本にいるのに、私は行ってはダメなんですか?」



暗い顔で、そう僕に尋ねる名前に、笑って



「君が居ても正チャンの邪魔になるだけだから」って返してあげる



すると名前は、今にも泣きそうな顔をした



いい加減に気付けば良いのに・・・


二人が幼なじみだか何だか知らないけれど、異常なまでに自分が正チャンに依存してるって事に・・・
そしてそれを愛だと錯覚している事に・・・


いい加減に思い知れば良いのに


君が側にいて許されるのは僕の隣だけだと言う事に・・・



「淋しい・・・とても淋しいんです」

「・・・だから?」



ポツリポツリと何度も淋しいと呟く名前
そして正チャンがいないと不安なのだと訴える
(あぁ、全くもって不愉快だよ)



「面白くないなぁー」



声に不機嫌さが表れていたのだろう、僕の呟きを耳に入れた名前はどうしたら良いのか、というような顔をして戸惑う



「勿論、責任取ってくれるよね?」



唇を無理矢理塞いで笑うと、名前は恐怖に顔を歪めた
(その表情すら僕を煽っているということに気付いていないのだから笑える)




◆◇◆◇◆




「っ、や、」



嫌がる名前を無理矢理ベッドに引きずり込んで、ベッドと自身の身体で名前が絶対に逃げ出せないようにして後ろから攻め立てる


名前は、まともに呼吸出来ないのか苦しそうに喘ぎ続ける


その瞳からは大粒の涙を零しながら


必死にもう許してくれと、止めてくれと訴える


僕はそんな言葉を望んでる訳じゃないのにさ
(まったく、何時になったら君は僕のこの想いに気付くのか)



「名前、」



(耳元で囁いて背中から首にかけてのラインを舐めると、震え上がるその姿にまで、込み上げるこの愛しさに何時になったら君は気付くんだろうね)



「っ、ど、どう、し、て?」


苦しそうに、途切れ途切れに僕に問い掛ける名前


「ん?」



名前の言いたい事なんて安易に想像出来たけど、わざとわからないフリをした



「どう、して、こん、な事」



遊びならこんな事は、自分以外の人間にしてくれと、シーツを握り締める名前の手が震えていてそう僕に訴える



「僕が抱きたいと思ったからだよ」



他でもない君をね、と続けて言えば後ろからでもわかる名前の驚いた様


それ以上は何も言わずにただ、無言で攻め立てれば名前は限界を迎えたのかグラリと崩れた


意識のない名前の中に白濁の液を注ぎ込む


(崩れ落ちていく君が、とても綺麗に見えたのは錯覚なんかではないだろう)



「名前」



君の泣き顔より笑った顔がみたいはずなのに、傷付ける事しか出来ない僕は滑稽だね


君が愛して欲しいと望めば今以上の愛を注ぎ込むというのに
全て与えるというのに



「名前、君は僕の薬だよ」



意識を失っている名前に聞こえるはずはないのに、構わず続ける



「甘い甘い極上の僕だけの媚薬」



(さぁ、始めようか、全ての時を忘れて、意味のない君を汚すだけの行為を・・・それは僕と君だけの集中治療)



END