嫉妬深くて、独占欲が強くて、気まぐれで
でも強くて、優しくて、かっこよくて
そんな貴方が大好きです




恋人中毒




最近、雑務担当の男性の方がどんどん減っていってるのは、気のせいでしょうか



昨日までやたらと話しかけて来たあの人も
一昨日、私を食事に誘って来たあの人も
更に前、私を怒鳴ったあの人も



今日までに全員消えているんですが・・・



しかも、残された男性陣は極力私に近付こうとしなくなった


仕事に関してやむを得ない時だけ、じゃんけんで負けた人が怯えた様子で近寄ってくる


(・・・何ですか、あの化け物にでも近寄る感じは)



「ちょっと、白蘭様、聞いてます?」

「ん?勿論、聞いてるよ、名前チャン」



私が愚痴を零してるのは彼氏でもあり、上司でもある白蘭様



でも白蘭様は特に邪魔そうにするわけでもなく


「それは大変だねー」と適当にあしらいつつ、私の腰に手を回した



「あの、白蘭様?」

「名前チャン、二人の時は白蘭でしょ」

「いやいやいや、今、近くにレオナルド様いらっしゃるのですが!」


そう私が言うと、
顔を真っ赤にさせて、目のやり場に困っているレオナルド様に



「何だ・・・まだいたの、レオ君。気が利かないなぁ」


軽い殺気を送る白蘭様


「し、失礼します!」


そして慌てて逃げるレオナルド様
その姿はまるで脱兎の如く



(ちょっと待って!今ので何か妙な感が働いたのですが)



「・・・あの、白蘭、つかぬ事を聞いても良い?」

「んー良いよ」



呼び捨てで呼ばれて機嫌が良くなったのか、私の髪を弄っている白蘭は笑っている



「もしかして、私の同僚とか上司を消したのって・・・白蘭?」

「・・・」

「白蘭?」



何故か部屋の空気が凍った気がする


白蘭は黙ったままで、ただ笑顔が黒いというか、うさん臭い笑顔に変わったかと思うと



「え?」



何故か自分の視界が反転
いつの間にか、私はソファの上で白蘭に押し倒されている体制に


(普通に座っていたはずなのに!)



「バレちゃったか。そう、君の同僚、上司を消したのは僕だよ」



そう悪びれなく言う白蘭
確かに、この組織のトップだから難無く出来ただろう


でも何で、そんな事・・・



「まず、一人目の名前チャンを叱った上司。名前チャンをびくびくさせて良いのは僕だけだって、わかってなかったから」



「次の二人目は論外だよね。名前チャンを食事に誘うとか、生きてる価値もないよ」



「三人目も二人目と大差ないかな」



淡々と話終えた白蘭
(嘘でしょ・・・)



「・・・まさか、全員皆殺し?」


恐る恐る尋ねてみる


「そんな得にならないような殺しはしないよ。全員国外追放にしただけ」

「こ、国外ってどの辺りに?」

「メキシコ、南極、南アフリカあたりだったかな」



(南極って遠回しに死ねって言ってるようなものだから!)



「だから名前チャン、これ以上犠牲者だしたくないなら、明日から僕と同じ部屋で仕事ね」



(独占欲も貴方からのなら大歓迎。可哀相な元上司と同僚には悪いけどこの恋は止まりません!)

(手元に置いとかないと調子が狂う。他の男といる姿に浮かんでくるのは黒い感情。それを相殺出来るのは君だけ)


Title
夜風にまたがるニルバーナ



END