まだまだ知らない事、わからない事ばかりだけれど、わかった事もある




めぐりあい
ACT3:わかった事、知りたい事





ボス(そう呼ぶ事にした)に飼われ始めて・・・いや私が勝手に住み着いただけかもしれないけど(だって行く宛てもないし、今のところ夜には勝手に人間になっちゃうから困る)


今、私のいる場所が暗殺部隊ヴァリアーのアジトだと言う事を、私の怪我を治してくれたオカマさんことルッスーリアさんに教えてもらった


暗殺部隊が何かよくわからなかったら


「ししっ、金貰って悪い奴やっつけてやんだよ」ってティアラを頭に乗せたベルさんが教えてくれた


・・・ベルさんは王子らしい
あと蛙を頭に乗せてるのがフランさんで、私を恨めしげによく睨むのがレヴィさん


そして───



「う゛ぉ゛!!」



よくボスに色々投げ付けられて、怪我してるのがスクアーロさん



───皆、初めて私を見てもそんなに驚かなかった


(喋る赤ん坊がいるくらいだから、喋る猫だっていても可笑しくないって言ってたっけ)



「名前、こんなところにいやがったのかぁ」



ふとスクアーロさんに視線を戻す


よく見ればスクアーロさんの長い髪からポタポタと雫が落ちていた・・・きっとまたボスにやられたのだろう


(皆、私が猫から人間になったりすることや、喋る事にはそんなに驚かなかったけど、私を飼ってるのがボスだと知った時には凄く驚いていた・・・その中でもスクアーロさんが一番驚いていたなぁ)



「名前、お前、勝手に出歩くなぁ」



少し困ったように、スクアーロさんが猫の姿に戻っている私に目線を合わせるように、しゃがみ込んでそう告げた


特に何か仕出かしてしまったわけでもないので、そう言われる理由がわからずスクワーロさんの様子を見て首を傾げる



「お前が来て僅かなのに、あのクソボスは変わった気がするぜぇ」



お前がいなかったから俺に八つ当たりが来るくらいにな、と続けるスクアーロさんは迷惑そうな、でも少し嬉しそうな複雑な顔をしていた




◆◇◆◇◆




「ボス?」



少しだけ開いたままの部屋の扉から中に入る


少しだけでも開いてて良かった
人間の姿だと簡単に開けれる扉も、猫の姿だと開けるのが至難の業



「・・・」



ボスは何時ものように、デスクに足を乗せて目を閉じていて


ひょいっとデスクに飛び乗り、ボスの足に擦り寄るとボスの目が開き紅い瞳がのぞく


スッ、とボスの足が下におろされて、ボスの膝の上に移動すると、ボスは怒る訳でもなくされるがままだった


銃を突き付けられた事があったばかりだと言うのに、まるでそんな出来事はなかったかのように何故かボスに対する恐怖心とかは薄まってて、ボスの良い匂いに落ち着く───その心地よさにこのまま眠っても怒られないかなぁ、と勝手に瞼がおちる


───ボンッ



「わっ、!」



ウトウトしそうになっていると前触れもなく、人間の姿になってしまい、ボスの膝の上に跨がる恰好になってしまった



「ご、ごめんなさい!」

「・・・」



かっ消されるかもしれないと本気で思ったけれど、ボスは無言



「ボ、ボス?」

「・・・てめぇ、猫のくせに早くも俺を誘惑するつもりか?」

「え?!」



無言の後に、ボスはよくわからない事を私に向かって言った



(ボ、ボス!この手は何?!離して下さい)

(うるせぇ、俺に指図するんじゃねぇ)


END