ある日父が私に紹介したSPは、白い髪に菫色の瞳を持った人間離れした容姿のSPだった
SEDUCER
(誘惑者)
「名前、お前にSPをつけようと思う」
「はい?」
何の前触れもなく、突然父がそんな事を言い出した
「最近は色々と物騒だからな」
「え、別にいらな・・・」
「実はもう既に手配済みだ。早速紹介するとしよう」
ニコニコと上機嫌な父
「ちょ、ちょっと、待って!」
(相変わらず、人の話を聞かない人だ!)
私の呼び止める声なんて当たり前のように華麗にスルーされて、「どうぞ」の父の声と共にドアが僅かに音を立てて開く
「はじめまして」
視界に映ったのは白
現れたその人の整った容姿を目にし、思わず呼吸を忘れていると、その人は白蘭と名乗った
「名前、白蘭さんは凄腕のSPなんだぞ。あ、白蘭さん娘の事を頼みます」
「勿論、大事なお嬢さんですからね」
「ハハハ、お嬢さんって柄じゃないですし、気楽にしてやって下さい」
・・・私を差し置いて繰り広げられる二人の会話
何かおかしい・・・特に父の白蘭さんに対する敬語
普通、自分が雇っているSPに敬語を使ったりするだろうか
そして何より白蘭さんの姿
確かにスーツ着てるけどスーツは白で、まるでホストみたいなスーツ
SPって一応警察組織の人間よね?警視庁とか警察庁とかあって違いはよくわからないけど・・・
白蘭さんは警察の人間には見えないし、それにスラッとした身体からは、失礼だけどあまり強そうに見えない
───とにかく謎だらけの人
「よろしくね、名前チャン」
───それが私から見た白蘭さんの第一印象
◆◇◆◇◆
それから三ヶ月
何故、こんな事になってしまったのだろう
「ちょ、白蘭さ、ん」
「シーッ・・・名前チャン、あんまり騒ぐと見付かっちゃうよ?」
「そ、んな、んんっ」
パーティー会場のとある一室に乱れに乱れた自身の服と、私に触れる白蘭さんの姿
パーティーが始まった直後に銃を持った人達が侵入し、参加者は悲鳴をあげながら逃げまわり
そんな最中、何故か私達を追ってくる人達から白蘭さんに庇ってもらいながら逃げて、部屋の一室に隠れる事が出来た
───なのに、走ったせいで息切れを起こした私が必死で息を整えていると、白蘭さんが「苦しそうな名前チャンってエロいねー」とか言い出し、私に別の意味で襲いかかってきた
(何処の世界に警護対象に発情するSPがいるのよ!)
「白、蘭さん、や、やめ」
「えー、無理」
唇を貪られながら白蘭さんから与えられる快楽に頭がクラクラして、脳が正常に働かない
経験のない私でもわかる・・・白蘭さんがこの行為に慣れてる事も、上手い事も
そう思うと何故か少し、胸が痛んだ
「名前チャン、考え事なんて随分余裕だね」
「ひうっ、あぁ」
私の反応が気に入らなかったのか、白蘭さんがナカを指で引っ掻いて、秘核を弄るものだから堪らず声が漏れた
既に彼の指を三本も飲み込んでしまってるナカはもう一杯一杯で、ナカから溢れる蜜が白蘭さんの指を濡らしていくのがわかる
「フフ、こんなになるなんて名前チャンってお嬢様の癖に淫乱?」
「うぅっ」
「別にそんなに恥ずかしがる事じゃないよ?人間は命の危機に陥った時ほど生殖本能が働くって言うしね」
「っ、誰の、せい、で」
クラクラする頭で精一杯の悪態をついて見せるも白蘭さんは素知らぬふり・・・それどころか、それすらも白蘭さんを煽る事になってしまう
「あぁ!い、や、痛、ん」
「っ、キツ」
性急にと言うべきか、クチュっと水音を立てて白蘭さん自身がナカを圧迫しつつ入り込んで来た
「嫌だ」、「痛い」等の否定の言葉は白蘭さんの唇に吸い込まれていく
「はっ、ん、ふぁ」
「ん、名前チャンの声をもっと聞きたいのは山々だけど、あんまり騒ぐと見付かっちゃうってば・・・まぁ、僕は見られても別に良いんだけどね?」
「んん゛、」
(冗談じゃない・・・!)
必死になって声を抑える
最早抵抗なんて出来るレベルじゃなくて、白蘭さんから与えられる快楽と、白蘭さんの腰の動きに応える事しか出来ない
「っ、名前チャン良い子だね・・・良い子にはご褒美あげないと」
最奥を何度もえぐるように突かれ、ようやくナカに白蘭さんから放たれた濡れた感触が広がる頃には、私は既に夢の中
・・・意識を失う寸前に遠くから聞こえた敵の声は、私を探すものではなく白蘭さんをターゲットとして探しているような気がした
───彼は甘い、甘い誘惑者
(ゆ、め?)
(おはよ、名前チャン)
(きゃあ!)
(人を化け物みたいに・・・その反応、流石の僕でも傷付くなぁ)
(えっと、私達を襲って来た人達は?)
(ん?名前チャンが寝てる間に始末しといたよ)
Title:‡decadence‡
END
←