鳥は愛する人を思い、涙を枯らして泣く泣く
鳥は憎い男に抱かれて、声を嗄らして啼く啼く



Night Raven
(夜鳴く鳥)





「ツナ・・・・・・?ねぇ、目を開けてよ」



目の前に広がる紅、紅、紅
瞳を閉じたままの愛する人の身体は、いくら呼んでも、触れても、応えてはくれない


ポタリポタリと雫が目から溢れ、それは止まる事を知らず愛しい人の頬を濡らす



「ツナ、ツナ、ツナ」



現実を直視出来ず、私は壊れたようにその名を呼びながら、涙を流すしか出来なかった
───あの悪魔が私に近付くまで



「名前チャン、ほら、これで邪魔モノはいなくなったよ」

「っ、ち、近寄らないで!ツナを返してよ!!」



ニコニコと笑いながら、気配もなく私に近付き、私に向かって手を伸ばす男───私の愛する人を殺した男



「・・・白蘭」

「ん?名前チャンが僕の名前を覚えててくれたとは嬉しいなぁ」



忘れるわけがない、私にそれだけの力があるならとっくに殺してる・・・それくらい地球上で最も憎い男


きつくツナの身体を抱いたまま、止まらない涙でぼやける瞳で白蘭を睨みつけ続ける


私のその姿に、笑っていた白蘭の眼は冷ややかに細められた



「・・・ねぇ、名前チャン・・・何時までそんな汚いモノに触れてるの?」

「っ、なっ・・・や、」



不機嫌そうに白蘭の腕が私を捕らえて、ツナと引き離される



「や、やだ!ツナ、ツナ!」



ツナに向かって伸ばした手は、白蘭に絡められ、ツナに触れることはなかった



「・・・ほら、汚いモノに触れちゃったから名前チャンの綺麗な身体が汚れちゃったじゃん」

「やだぁ、離して!」



ジタバタと暴れる私を嘲笑うかのように、白蘭が私を抱き抱える



「そこに転がってる汚いモノ・・・沢田綱吉くんだっけ?適当に処理しといてよ」



私を抱き抱えたまま白蘭は、私の愛した彼に目を向けることなく、側に控えていた部下に非情な言葉を告げた



「やめて!ツナに触らないでよ!」


ひたすら泣き叫ぶ私に返されるのは


「・・・名前チャン、少し黙ってて」


悪魔のような白蘭の言葉



「んん゛」



無理矢理こじ開けられた唇から流し込まれるのは、私をツナという聖域から堕天させるための薬


自分の意志とは裏腹に、意識は白蘭の腕の中で闇へと沈んだ




◆◇◆◇◆




「ん、」



次に目覚めた時、視界は白一色だった



「あ、名前チャン、やっと起きたんだ」



最悪な事に一番近くに映る白は白蘭の姿
それに追い撃ちをかけるのは、身体はベッドの上、私の上には白蘭という現状


無理矢理飲まされた薬のせいで思うように動かない身体は、拒否すらも満足に出来なくて



「んん、はぁ、や、め」



白蘭の唇も舌も、そして身体中をまさぐる指先さえも、簡単に受け入れてしまう



「ひっ、や、」

「んー、あんまり濡れてないなぁ」



下着ごしに秘部を擦られ、横から指を入れられて中を確認される


愛する人以外のその感覚が気持ち悪くて、涙がとめどなく溢れて線を描いた


満足に動かない身体を精一杯動かして、抵抗するも白蘭に押さえ付けられてそれは徒労に終わり、遂には下着すら剥ぎ取られてしまった



「まぁ、ヤってたら濡れるかな」

「ひっ!いやぁ、やだ、やめ、」

「名前チャン、煩いよ?」



有無を言わせない白蘭の声と、カチャカチャとベルトを外す音がして、私をせせら笑うかのようにグロテスクな白蘭のモノが秘部に宛がわれる



「いやぁぁ・・・それだけはやめて・・・いや、だぁ・・・お願いだからそれだけは・・・ツナ、の、感触を、消さないで、」

「・・・フフ、なら尚更消してあげないと。名前チャンの目を覚ましてあげなきゃね?」



無駄だと知りつつも、出来るかぎりの抵抗をする私の身体を白蘭が力で捩じ伏せて、秘部に何度か自身を擦り付けた後、膣壁の感触を味わうかのようにゆっくりと私の中に入って来た



「ひっ、痛、っ」



その質量に息がつまる
最奥まで埋められた白蘭のソレに、涙だけが自由に流れた



「はっ、名前チャンの中、すっごくキモチイイ」



うっとりするような顔で白蘭が私を見つめて、そのまま貪るように何度も私の唇を塞ぐ


そのせいで私はツナ、と愛する人の名前を呼ぶ事すら許されず、白蘭にされるがままに揺さぶられ続ける


激しさを増しつづけるだけの白蘭の注挿に、反射的に膣は白蘭自身を締め上げて、それは結果として白蘭自身の質量を増大させ、私に更なる苦痛を与える



「いやぁ、ぁっ、あ、んん」



そして最奥を何度も貫きながら、白い悪魔は私に絶望の言葉をはいた



「ねぇ、名前チャン・・・ボンゴレの守護者達は今躍起になって君を捜してるよ。馬鹿だよね、見付かりっこないのに」

「ふ、っ、うぁ」

「そうだ!良いこと思いついちゃった・・・・・・万が一見付けた時の話だけどさ、やっと見付けたボスの寵姫が産むのが、白い髪の子だったら面白くない?」

「っ、ま、さか」

「そっ、そのまさか」

「いやぁ、いやぁ・・・やだぁー」



瞬時に白蘭の言葉の意味を理解してしまい、身体がガタガタと震える


白蘭はそんな私を満足そうに見つめ、中に欲望の全てを注ぎ込み、私を絶頂へと追い込んだ



「あぁ、・・・そ、ん、な」



中を満たす白蘭の白濁
白蘭はソレを膣内に塗り込むように、腰をゆるゆると動かしながら言葉を続ける



「僕が、あんなにずっと見てたのに、気付いてくれない名前チャンが悪いんだよ。わざわざボンゴレ狩りまでしたって言うのにさ」

「な、何、言って」

「まぁ、いっか・・・骨の髄まで僕で一杯にしてあげる」


チュッと軽いキスを唇に落とした後、私の中で再び硬度を取り戻した自身を白蘭が揺り動かし始め、私は終わりのない悪夢へと沈んだ


悪魔に魅入られて、羽根をもがれた鳥が───自由に空を飛ぶ事も、愛する人の名前を呼ぶことも二度とないだろう


(名前チャン、愛してるよ・・・だからもっと堕ちておいで)


Title:‡decadence‡


END