「うわああごめんなさいいいい!!!」


この子、女の子じゃない!
多分男の子だ!!
ピンときた瞬間、絶叫しながら全裸を隠すようにしゃがんだ。
すると物凄い速さでわたしの横を通り過ぎたらしい彼が、ぴしゃんと戸を勢いよく閉める音が耳に届いた。


… … …



「はーっ、はーっ」


忍務の時にも体験したことのないほど、心の臓がどくどくと鳴り響いている。


「だ、誰だあの女は!!」


今夜くのたまは野外演習だと聞いたから、敵方の城のくの一かとも思ったが、だったらもっと色で仕掛けてくるはず……間違ってもあんな無防備に、しかもこの学園一優秀で名を馳せている私を、女と間違える者は学園にはいない。敵方なら尚のこと。
ふう、と深呼吸をひとつ。


(忘れよう)


そうして私は六年の長屋へ帰ったのだった。
勿論忘れることなぞ出来る筈もなかったがな。





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