食堂と達筆な字で書かれた、杓文字形の立て札。そこからいい匂いが漂ってくる。


「おばちゃーん、A定食ふたつくださーい」
「はいよっ!……あら、あなたは…」
「はじめまして! 明日よりこちらで働かせていただくハルといいます! ふつつか者ですがよろしくお願いします!」


食堂のおばちゃんは既にわたしの存在を知っていたようで、こちらこそよろしく頼むわね。と笑った。


(よかった……おばちゃんは普通の人みたいだな。)

ほっと胸を撫で下ろしていると、おばちゃんがA定食を二つカウンターの所に置いた。土井先生、わたしの分も頼んでくれたんだ……有り難い。
美味しそうな煮魚定食を手に持ち、くるりとテーブルが配置されてる方に向き直って初めて気付いた。
こちらを見つめる、緑色の頭巾をかぶった二人に。


「留三郎に伊作も今から飯か。遅かったなあ。」


土井先生は普通に彼らと同席したから、わたしもつられて席につく。真向かいにいる茶髪も吊り目も、聞きたそうにちらちらと視線をわたしと先生の間をいったりきたり。


「あのー先生、この方は……。」
「あ、ああそうだった。お前たちもまだ知らないんだったな。」


さっきのククチさんと同じ事を話す土井先生。その横で普通にご飯を食べるわたし。
なにこれすっごく美味しい! お腹空いてたってのを引いても、これはうますぎる!!





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