学園長先生に命名された事は、きっと身も心もぼろぼろだろう文川さんを支えて学園に馴染んでもらえるようにする事。そんなこと、言われなくたって進んでするよ。だって、折角の同じ立場の同じ女の子だから。仲良くなりたいのは当然です。



「それじゃあ失礼します。文川さん、行きましょう」
「はい。みなさん本当に、ありがとうございます」


文川さんはもう一度深く頭を下げると、すっくと立ち上がった。
わたしたちは庵の襖を閉めると、山本先生に会いにくのいち教室へと廊下を行き進む。ああそうだ、この敷地内は結構広いから文川さんにもわたしみたく迷わないよう、どこに何があるのかを伝えておかなきゃな。
ほんとうは、どこから来たのかとか、実際はいくつとか、色々話したいのだけど、うまく言葉が出てこない。ちら、と文川さんを盗み見ると、空げに景色を眺めていた。


「あの、文川さん」
「はい」
「わからない事とか、困った事とかあったら遠慮なく訊いてくださいね!」


振り絞ってそう言うと、文川さんはちょっと笑って「はい」と返してくれた。ほっとした。慣れるまでいろいろが違いすぎて大変だからね、わたしも困ったし。




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