うららかな日和のある日。
いつものようにランチの手伝いが終わると、生ゴミを捨ててくるようおばちゃんに頼まれたので裏山近くの大穴に捨て帰ってくると。


「おっ、あれは……」


木の根本に白いふわふわした小さいものが、小刻みに震えている。じりじりと怖がらせないように近付いてみると。


「うは、やっぱりうさぎだ! ちっさいな〜おいでおいで」


チッチッと手を揺らしてこちらに近付くよう促すと、人懐っこいのか割とすんなり手の平に鼻を擦り寄せてきた。なんっだこれ、かわいい……!!!
わたしは落とさないよう、丁寧にうさぎを抱きかかえたまま、ちょっと休憩してもいいかななんて、木の根本に腰を下ろした。


「きみはあれかな、迷子かな。まだこんなちっさいのに、寂しいねえ」


周りに誰か人がいたならば奇妙な奴でしかないけれど、幸い誰もいなかったので普通にうさぎに話し掛けてみる。まあ話し掛けるなんて、ペットの飼い主さんもわりとすると思うんだけどね。
――でも本当に、どこから来たんだろうか。どう見ても生まれてそんな経ってないだろうに。そんな事も知らずうさぎは、白い薄い耳をピピピと揺らし鼻をひくひくさせるだけだった。




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