「ハルちゃんいるー?」


自室にて、きり丸のアルバイトの花束作りを手伝っていると、珍しく人が訪ねてきた。
顔を上げれば小松田くんが、お願いがあるんだけど〜と眉をひそめて口を開いた。


「どうしたんですか」
「あのねえ、申し訳ないんだけど、門外の箒掃きを僕の代わりにやってもらえないかなあ」
「ああ、いつもやってるあれですね」


この花束作りの手伝いもそろそろ終わるし、そうなると夕食の準備まで暇になるから丁度よかった。
快諾すると小松田さんは、箒は用具倉庫にあるからねーと安心したように、ふにゃりと笑う。


「あとその間に、もし誰かお客さんがきたら必ず、か・な・ら・ず! 入門表のサインを頂いてね」
「は、はあ。わかりました」


なんか小松田くんはサインもらうことに命懸けてる節があるって、しんべヱに前聞いたけど本当だったなー。呆気に取られつつ、それじゃあ用具倉庫に箒取りに行こうかと腰を上げる。
あ、その前に出来上がった花をきり丸のところに届けに行ってこよう。


「――えーと、一年長屋はどっちだ、こっちか?」


花を入れたカゴを抱えて、忍たま長屋をうろつくとタイミングよく、一年生の水色制服が前からやってくるのが目に入った。




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