震える肩が納まると、きり丸はやんわりわたしから離れていった。
少し赤くなった目元を恥ずかしそうに擦りながら、今のはぜーんぶオレとハルさんの秘密にしといて下さいと、何もなかったように笑った。だからわたしも、何も見なかったように肯定して、笑った。


「――そろそろ洗い落とせたんで、乾かしにいきましょう!」
「うん、行くか!」


… … …


縄にぶら下げて洗濯物を干すなんて、初めて見たなあと感慨深げになりながら、きり丸が干した青空にパタパタ揺らめく白い布を見上げる。


「ハルさんのも干しましょう」
「あ、うんそうだね」


これは大分苦戦した。
きり丸の洗濯物みたく、ただの布だったらよかったんだけど生憎わたしの洗濯物は、パンツとかブラジャーとか、極めつけ制服というハンガーや洗濯挟みがないと干しづらいものなんだよなあ。困った。


――さて、下着はうまく縄に通せたけど(この際わたしのたいして色気のないパンツとブラが青空の下晒しものになってるのは目をつむる)
問題は制服だ。どうやったらなるべく型崩れもせず天日干しできるかな。


「あ、きり丸!」
「ハルさんも!」
「兵太夫、金吾!」


うんうん知恵を振り絞っていると、聞き覚えのある名前が二つ増えた。





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