そんな訳で、親睦を深めるという名の隠れんぼが始まりました。
ただしルールは少し違って、まず初めにわたしは一枚の紙を見せてもらう。目を通すと、現代では中々見当たらない名前の羅列。


「お前たちは隠れて、ハルさんが鬼として見つけるまでは普通の隠れんぼと変わらない。ただし、ハルさんは生徒を見付けても名前を言い当てないと、鬼の勝ちにはならない事としよう」
「先生、でもそれだと、私たち三人はもう既に知られちゃってます」
「そうだな、じゃあ乱太郎、きり丸、しんべヱはハルさんと同じ鬼をやろう」


成る程、それだとわたしも一年は組の子たちの名前も把握できるようになっていいかもしれない。
ただの自己紹介じゃつまらないしね! なんだかワクワクすっぞ!


「――きゅーうっ、じゅーうっ!!」


しゃがみ込んで大声で数をかぞえると頃合いか、すくっと立ち上がる。
すると、わたしの右手に乱太郎の、左手にはきり丸の小さな手が絡んできた。


「一年は組の隠れんぼは中々難しいんです」
「ハル姉ちゃんが迷わないように、オレらが先導してくから。しんべヱもほら、オレの手握っとけ」
「きり丸ありがと〜。ようし、頑張るぞ!」
「み、みんな……!!」


なにこれ、乱太郎きり丸しんべヱ良い子すぎて胸がいたい。


「よーーっし!! そんじゃさくっと皆に会いに行こうか!!」
「「おーーっ!!」」


空に向かって付き上がる、ぎゅっと繋がれた拳。
その光景を見ていた先生たちは穏やかな笑みを称え、座学を受けていた他の学年の子も、何が起こっているんだとちらちら視線を飛ばしていたという。




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