ごしごしと右手の拳で目を擦る。あーもういいや、そもそもこの状況おかしいもの。わたしの部屋じゃないし、第一なんでこんなギャラリーがいるんですか。


「あのー、」
「ハルさん、身体の具合はどうですか? 気持ち悪いとかありませんか?」
「え? いや無いよ、そういうのは……って、伊作くん。わたしってもしや倒れたりしたのかな?」
「それよりもっと酷いことだったよ」


すまないね、私がついていながら。
土井先生はわたしの頭に手を置くと、申し訳なさそうに眉を下げて笑った。いやだから、何が起こったのかさっぱりわからないんですけども!
わたし何かやらかしましたか、と聞こうと口を開いた途端、邪魔するようにギュルルと存在強調する、空腹ですよの合図。穴があったら入りたい。起きぬけにどんだけ腹減ってんのこいつってなること間違いない! 一年は組のよいこたちは、泣いた烏がもう笑った状態だしさ! いいよいっそ笑えよ!


「あーそうだね、まともに食べてないもんね。お粥とか胃に刺激がいかないものを先に食べてくるといいよ」
(へっ? なに、何の話?)
「俺が連れていく」
「エッちょっ、」
「背中に乗れ」


それまで置物のように微動だにしないで、目だけわたしを見ていた潮江くんが何故か背を向けてしゃがんでいる。これはあれか、つまりおんぶですね。何 故 に !


「お前には事故とはいえ酷い事をしたからな。これくらい当然だ。早く乗れ」
「え……ええーいいですよ一人で行けますよ」




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