何処から取り出したのか、きり丸がわたしに草鞋を差し出していた。
「わーありがとう、助かるよ。」
つい従兄弟たちを相手にする癖で、きり丸の頭をくしゃりと撫でたら一瞬真顔になったので、思わず手を引っ込めた。
「お姉さん歩きづらそうだったし、ツケでいっすよー。」 「ははは、しっかりしてるね。」
勘違いだったのだろうか? 八重歯を見せてきり丸はニカッと笑う。
そうして貸してもらった草鞋を履いて歩き続けると、段々風景が田圃のみになってきた。 車や街の喧騒もないし、青空が広く見えるし、空気がおいしいってよくわかる気がする。 わたしの前を、歌をうたいながら並んで歩く三人組の無邪気さも手伝って、なんていうか、平和だなあ……と癒されていた最中。
「待ちな。」 「!? 山賊か!!」 「そうよ。おいガキども、おめーらの連れてる女の着物、全て置いていけ! なんなら女ごと置いてってもいい。」 「ふざけるな!!」 「これでもか?」
ちょちょ、これさっきと同じようなパターンじゃないですか。 しかも今回はなんかギラギラした刀を片手にちらつかせてる分タチ悪いぞコレ。
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