彼は何かぐるぐる頭の中で考えてたんだろう、何事かを導き出すと、小さく「だからか」と一人納得していた。なにがだ。
「まあいい。じゃあ入門表にサインの役目も、」 「今日はわたしです。えーっと、確か……あったこれだ。ここにサイン下さい」 「君も小松田くんに似て、そそっかしそうだね」 「……一々一言多いですよ、さあ早く書いて下さい」
やけに突っ掛かってくる人だなーと、内心ちょっと不機嫌になりつつサインをもらう。
「山田……としきち……」 「リキチね利吉。はいこれでいいかな」 「ふむ、利吉さんか。あ、もう大丈夫です入門下さい」
やっぱこんな人、わたしがアニメ見てた頃にいなかったよなー? と彼の後ろ姿をちらりと見つつ、サッサッと門外を掃いていると、ひょこっと現れた見たことのない男の子。背丈からして一年生くらいじゃないかなあ、でも食堂でも顔を見たことない気がするけど。
「こんにちはー、どうかしました?」 「あ、あれ? 小松田さんは……?」 「小松田くんは用事があるそうで、今日はわたしが代わりです」
どこのクラスの子かな、入門されますか? 小さな男の子に訪ねると、首をふるふる振って否定を示した。 あれ、もしかしてこの学園に在籍してない子なのか?
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