「平和だなあ……」


時計ないから判らないけど、お昼時なんじゃないかな。ヘムヘムの鐘が頼りだ。
どっちみち、もうそろそろ食堂に戻って準備をしなきゃなんだが、一向に起きる気配のない穴掘り少年。ふわっとしてる長い髪の毛に触れてみると、やっぱり猫みたいで気持ちいい。

……プリン好きなの、知られたくなかったからわざわざ拉致ったのだろうか。甘党だと女々しいとか、まあ食満くんなら言いそうだもんなあ。

しゅるりしゅるりと、猫っ毛な細い髪の毛を弄んでいると、あれ〜? と言いながら、誰かがこちらへ近づいてくる足音が聞こえた。


「喜八郎が寝てる……おや、あなたはハルさんじゃないですかあ」


間延びした話し方だったから、一瞬小松田くんが現れたのかと思ったけど違った。穴掘り少年と同じ色の制服に、目立つ金髪。でもヤンキーって感じでない、寧ろハムスターみたいなふわふわした人がそのまま、よいせっと隣に腰を下ろした。


「はじめまして。俺は斉藤タカ丸といいます」
「あ、はじめまして……ハルです」
「ふふ。朝に会ったでしょ、知ってます」




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