ネタ置き場 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


「今日から此方で働かせていただく事になりました、い(かながしら)です。よろしくお願いします」
「んー」
「まぁ、変わった苗字ねぇ」

平仮名の「い」一文字で「かながしら」
いろはにほへとの先頭だからって由来があるらしいけど、ややこしい事この上ない苗字である。それはまぁさておき、
とある切欠で出会った伊波さんという人にバイトに勧誘された私は、今日からファミレス・ワグナリアで働く事になった。
キッチンの制服に着替えて、店長とフロアチーフに頭を下げる。

「キッチン担当の女の子って久し振りだわ。チーフの轟八千代です、よろしくね」
「店長の白藤杏子だ。仕事については一切教えんから、そのつもりでな」
「それは、現場を見て自分で覚えろと…?」
「いや、私は基本的に仕事しないから。解らん事はキッチンの奴か八千代に聞け」
「………」
「じゃ、後の事は佐藤に任せてあるから。八千代ー、パフェ」
「はぁい、杏子さん!」

大丈夫かこの店。
事務室を出て行く2人を複雑な気持ちで見送る。
つーかチーフの腰にぶら下がってるアレ…刀、だよね?あれツッコむべき?
すると入れ替わるように男の人が休憩室から事務室へ入って来た。
金髪で背が高く、左目が長い前髪で隠れている。大学生くらいか。

「……ま、頑張ろうな」

お兄さんは突っ立っている私を見付けると、黙ってぽんぽんと頭を撫でてきた。
…気苦労が絶えない店のようである。

「俺が佐藤潤な、よろしく」
「カナガシラです。えっと…まずチーフの腰にある物騒な物について聞きたいんですが…」
「ああ、あれな。実家が刃物店らしい」
「(答えになってるようでなってねえ!)」
「物騒と言えばさぁ、君の通ってる高校も物騒だよねー」
「ふぉぅっ!?」

急に後ろから聞こえてきた知らない声。ビビって振り返ると、青みのある黒髪のお兄さんがニコニコ笑ってた。
聞いてもいないのに「相馬博臣だよーよろしくね」と胡散臭い笑い方をする相馬さんに一応頭を下げる。

「来神高校だっけ?確か今年、物凄く力持ちな子とか、どっかの教祖張りに信者を侍らせてる子とかが入学してきたんでしょ?」
「よく知ってますね」

「大変だよねぇ、その2人超絶仲悪くて毎日喧嘩してるんだって?
 力持ちの子の幼馴染とは同じマンションだし、隣りの席の男の子は教祖っぽい子の友達だしさ。
 喧嘩に巻き込まれる可能性もなくはないよねぇ」
「ちょ、どこまで知ってんですかアンタ」

「しかも教祖っぽい子…もう臨也君でいっか、彼に昨日お弁当作るようにねだられたんだってね?完全に目付けられてるから、気を付けてね」
「佐藤さぁぁん!この人千年眼でも持ってんですかぁぁ!?」
「よくわかんねーけど、何時もの事だって補足はしとく」


怖さでいよいよ鳥肌まで立って来て思わず佐藤さんの後ろに隠れた。
相馬さんがべらべら喋ったのは、つい最近できた私の友人の話でもあり、ちょっとした悩みの種でもある。
誰にも話した事ないのに、来神学生どころか会って数十秒の人が知ってるとかマジ怖い!

「コイツぁ人の弱味を握って散々からかいまくる性格最悪な奴だ。黙らせたかったら俺か伊波を呼べ」
「佐藤さんは解りますけど、なんで伊波さん…?」
「あれ、伊波さんの勧誘でバイト入ったのに知らないの?」
「え、男性恐怖症の事なら聞いてますが…」
「あー、その続きを知らないんだね。伊波さんは男が近寄るとね――」

「キャァァアアア!!男ぉぉおおお!!」
「ぎゃぁぁあああ!!」

「何事!?」
「あーあやっちゃったみたいだね…」
「伊波は男が寄ると反射的にブン殴るからな、相馬にムカついたら派遣するといい」
「………」

大事な事なのでもっかい言います。

大丈夫かこの店。



   *  *

デュラ来神×WORKING!!
変わった読み仮名の「小鳥遊」「臨也」や、名前負けの「静雄」「ぽぷら」「轟」など、名前でちょっと苦労する人が書きたかっただけ。小鳥遊は最早メジャーだけど。

【夢主設定】
通称・いーちゃん。
来神組・小鳥遊と同期。
喧嘩の腕は門田と同じくらい。売られた喧嘩を買う程度。動体視力がいい。
バイト募集のため伊波が勇気を振り絞って町で勧誘。男にナンパされて(ぶん殴る寸前)のところを夢主が助けたのが出会い。
その場の流れで勧誘を受け、キッチン配属になる。接客は苦手。
静雄とは臨也お仕置き同盟。佐藤・門田とは平和同盟。小鳥遊とはツッコミ同盟。ぽぷら・セルティは癒し。伊波(と接触した男)のボディーガードをさりげなく担当。

八千代←佐藤←夢主←静雄でじれったくほのぼの。
最終的に佐藤×八千代、静雄×夢主でハピエン。

[back]