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草木も眠る丑三つ時。

人の寄り付かない深い森の中で、草むらが激しい音を立てる。
暗がりの中を、六尺(訳2.3m)ほどの大きな身体をした鬼が走っていた。
鬼は先程まで至る所に深手を負い片足も折れていたが、鬼故の回復力で既に全快している。だがこれ以上は堪らないとばかりに走っていた。

それを後方から木の葉を揺らし、枝から枝へと飛び移り追う者がいる。
夜に溶ける黒い装束の背に“滅”の文字。黒いマスクを鼻まで覆い、そのすぐ上にある青い目は一度も反れることなく鬼を見据えている。
小さく悲鳴を上げさらに走る速度を上げる鬼を見た黒い影は、短く切り揃えられた茶髪を揺らして高く跳躍した。

「――砂の呼吸、壱ノ型」

空中で体を丸めると、腰の刀を抜いて月光に晒す。
鋼の刃はまるで砂糖を焦がしたような飴色に徐々に色を変え、その身を鬼の首へと滑らかに滑らせた。

「“砂塵一幕”」

勢いのままくるりと一回転した影は、鬼から少し離れた所で着地する。
首を斬られた鬼は、まるで見えない砂嵐に巻き込まれていたように一瞬動きを止めていたがやがて首と胴が離れていき、その身が地面に着く頃にはどちらも塵になって崩れていった。
それを横目で見届けた影が刀を鞘に納めると、どこからともなく烏が一羽舞い降りて影の肩に停まった。

「ヒナ、任務終ワリ!帰ロウ!」
「オッケー、帰ろ」

桶?と首を傾げる烏の頭を撫でながら、影――江戸川ヒナは再び森の中へと消えていった。





「江戸川さん!江戸川さんってば!」
「…?あっ私のことか」
「もう、江戸川さんって絶対一回では気付いてくれないですよね…そんなに声聞き取りにくいですか?」

任務の報告を終えたヒナが仮眠をとって屋敷から出てきたのは翌日の昼。欠伸を漏らす彼女を呼び止めたのは、一年後輩の少年だった。

花札のような耳飾りを揺らして駆け寄る彼は、鬼になった妹を連れ歩いていると先日有名になった少年である。
鬼に身内を殺された者が多いこの組織では、彼をよく思わない声の方が多い。しかしヒナには鬼に対する私怨はなく、加えて組織内での鬼に対する考え方もよく解っていないため、大して驚きもせずすんなり彼を受け入れた。
そして最近大きな任務を共にして以来、この少年――竈門炭治郎と妹の禰豆子との交流は続いている。

「柱になって初の任務どうでしたか?」
「どうって、いきなり新米柱にでかい仕事は任せてくれないよ。やたら大きい鬼を数体片付けてきただけ」
「それを一人でってことですよね?やっぱり違うなぁ…俺も早く追いつかなきゃ」
「是非ともそうして欲しいね。私一人で煉獄さんの穴埋めるのはキツい」

お互いにとって懐かしい名前を口にすると、暫ししんみりした空気がその場に流れる。やがて二人は昼餉を取るため町へと歩き始めた。
その時炭治郎が背負う箱からカリカリと引っ掻く音がした。励ますようなその音に炭治郎は眉を下げて微笑み、ヒナは軽く叩くように箱を撫でた。



   *  *

もしも前世で飛ばされたのが鬼滅の世界だったら。

【夢主設定】
名前:江戸川ヒナ

平成から大正にタイムスリップしてきた。その時鬼に襲われた衝撃で記憶を失う。
同じくトリップしてきた幻影旅団結成メンバーに拾われ、1年近く共に下町で生活し念能力を教わる。蜘蛛の刺青もある。
旅団があちこちから盗んできた書物で学問と呼吸法を覚える。
旅団が元の世界に帰ってからも、念能力を混ぜた独自の呼吸で襲ってくる鬼を返り討ちにしてると、噂を聞きつけた柱が勧誘に来て入隊する。
名前は旅団からもらったもの。苗字は入隊時に聞かれて咄嗟に名乗った。
試験を受けたのは炭治郎達より1年前。遊郭編の後、煉獄・宇髄の穴埋めで「砂柱」に昇格する。


*装備*
日輪刀:
飴色になる刀に分銅鎖が繋がっている。この鎖で相手を縛ったり、立体起動装置のように移動したりする。

服装:
隊服の詰襟をゆるく着崩し腕捲り。男子高校生みたいなスタイル。
羽織はなく、フェイからもらったマスクだけ着けている。


*型一覧*
壱ノ型:砂塵一幕(さじんひとまく)
弐ノ型:地獄滑り
参ノ型:砂丘の夜
肆ノ型:砂子舞い(いさごまい)
伍ノ型:砂上楼閣(さじょうろうかく)
陸ノ型:蜃気楼の国
漆ノ型:月下の蠍
捌ノ型:車軸の砂

拾ノ型:白砂静翔(はくしゃせいしょう)


実は無限列車の任務に同行していて間一髪煉獄の救助に成功してて、でも隊士ではいられないくらい大怪我した煉獄の引退と入れ替わりで昇格したとかしないとか。
無惨との最後の戦いのゴタゴタの時に行方不明になり、遺体もなかったことから神隠しにあったと噂が立ったとか立たないとか。

「任務に行って必ず鬼がいるとは限らないのでは?」「人間が起こした事件とかも人知れず対処してるんじゃない?」などという妄想のもと、かまぼこ達と織りなすなんちゃって推理小説を書いてみようと思ったけどそんな文才私になかった。

「猪突猛進!てんしょんあげぽよ!」
「また伊之助が変な言葉覚えた!」
「ギャル語使う猪ウケるw」
「江戸川さん!また!」

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