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凡例

幼馴染が行方不明になった。

違和感を覚えたのは3ヶ月ほど前。別々の高校に進学した彼女からの連絡が途絶えているのに気付いた時だ。
黙っていても月1のペースでメールか電話があったのに何の音沙汰もない。こっちから何度か電話をかけたが繋がらない。家の電話でも全て空振り。
胸騒ぎがして家に行ってみるとなんと半年前に家族全員行方不明、しかも一夜にして姿を消したという衝撃の事実を聞かされた。
夜逃げだと断定する警察、神隠しだと囁く元同級生達、関わり合いを避けようとする家族。
誰も彼女を心配せず、見付けたいと言っても協力してくれない。一人で探そうと思っても、当てが何一つない。
何もできない自分に苛立っていた時に見付けたのが、その事務所だった。

曰く、高校生と小学生の黒魔術の真似事。
曰く、歳の離れた男二人の同棲生活。
曰く、秘密結社のエージェント。

その事務所は以前からあまりいい噂は聞かなかった。
何せそこの看板には「“魔”法律相談事ム所」と書かれているのだ。加えてこの事務所から時々不気味な笑い声が聞こえると言う。
様々な憶測が行き交い尾びれ背びれが付いた噂話が、この町の学生の間ではちょっとした怪談話として扱われていた。
しかしそんな中に「幽霊に取り憑かれたところを助けられた人がいる」といった“本物”だと臭わせる話も僅かながら存在している。
幼馴染の神隠し説を頼りに「霊の事なら何でも相談ください」と書かれたチラシを片手に、藁にも縋る思いで事務所のドアを開いた。

「本当に解らなかったんだよおおお!どこのコンビニや本屋さんも売り切れで、やっと見つけた最後の一冊って思ったんだあああ!」
「あ"あ?だからって赤マルと見間違える奴があるか?今時ガキでもやらねーよ、こんなアホなミス」
「だからゴメンってばムヒョ!すぐまた探してくるからぁジャビンンンン!!」

「………」



   *  *

バァン!と大きな音を立てて扉が開かれた。
買ってきた週刊マンガについてちょっとした揉め事が起きていたのだが、ソファにふんぞり返る六氷透も涙目で謝る草野次郎も、突然の来訪者に思わずやり取りを中断し入口の方を向いた。

そこに立っていたのは女子高生。緑がかった長い黒髪を一つにまとめ、釣り眼になった瞳の奥は紫色。
腰で履かれたスカートに、着崩された制服のカッターシャツから覗く派手な柄のインナー。首にも腕にも耳にもシルバーアクセサリーがジャラジャラとついていて、いかにも不良といった感じの姿だ。
そんな女子の登場に顔が引き攣る次郎の鼻先に突き付けられたコンビニ袋。その中には探し回っても見つからなかった週刊マンガが…

「依頼料タダって聞いて怪しいって思ってたとこだ。それやる」
「えっ」
「他にも要るものあるならこっちで揃える。そのかわり今から言う人間の居場所を突き止めろ。どんな結果でも受け止めるが、テキトーな仕事したら詐欺でこの事務所訴えっからな」
「ヒッヒ」

これが仇浪 茜と、六氷魔法律相談事務所の二人の出会いである。



タマネギとモヤシ、ワカメと出会う


中学の頃に読んで大好きだった漫画がアニメ化してくれて嬉しいです。
大昔に書いてた小説を今風にリブートして、リハビリを兼ねて再開しようと思います。

(2018/08/07)


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