白雪 | ナノ
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4


既にやる気の男勢。女(こちら)の意見は聞く気がないようだ。
京都は眉間に皺を寄せると、ツカツカと波打ち際へ歩いて行った。
首を傾げる京子・ハルと、ニヤニヤと笑うビゾラ。そして勝手にヒートアップする男達。

「んじゃ俺一番手でいくぜ」
「3本目は十代目頼めますか?」
「えーーー!?俺もーーー!?」
「沢田ではまだ心配だ!俺が泳ごう!」
「ざけんな!お前が泳いだら勝ち目はねぇ!」

「話しを聞け貴様らァァアア!!」
「「「Σギャァァアアア!?」」」

突然男7人に弾丸の如く投げ付けられた何か。辛うじて避けた綱吉が、目で先を追う。
それは浜辺で―皮肉にも人が無造作に捨てた事で―よく見られる夏の風物詩、ビーチグラスだった。
今はそれら5・6粒程が、男達の足元にめり込んで煙を上げている。
これがもし自分に刺さっていたら………想像するだけでも全身の汗が引いた。

「さっきから黙って聞いていればつけ上がりよって助平野郎共…当事者たる私達の意向は総無視で何勝手に話を進めているんだ?女の色香を楽しみたければ、まずは女が満足する環境を作れ」
「いろっ!?」
「うっせー鳶尾!お前ちょっと黙ってろ!」
「嬢ちゃんよぉ、ガキのクセにエラそーな事ほざいてんじゃねーよ。あんま煩せーと俺達ナニするか分かんねーぜ?」

口出しするなと言わんばかりに吠える獄寺。そこに不良の一人がさも賛同するかのように言葉を続けた。
そして、下卑た顔で当たり前のように京都の腰を抱き寄せる――額に青筋が出来た。
京都は腰に回っている不良の腕と髪を引っ掴むと、足を引っ掛けて相手のバランスを崩しその勢いで海へとブン投げた。
――轟音が水飛沫と共に上がり、不良の安否は解らない。

「大倉ァァ!?」
「てめェ何しやがんだクソガキィィ!」

「あ"あ?『何しやがんだ』は此方の台詞だ。こちとら長時間のフライトでくたくたなんだよ。折角誘われたからその足で来てみれば貴様等のような輩に遭遇してウンザリする。静かに日光浴でもしていたかったのに、職務怠慢と公然わいせつの莫迦者共…いい加減堪忍袋がはち切れそうだ。そんなに遊んでほしければ鬼ごっこでもしてやろう。私の鬼役は激しいぞ?
 腕の1・2本は覚悟しとけやコルァ
「「「「「「すんませんでしたァァアア!!」」」」」」

何時もより1オクターブ低い声に目元に影のある顔、般若のオーラを纏った京都が君臨した。
有無を言わせぬ禍々しい威圧感に、その場にいる男全員(よく解らないまま了平も)が土下座する。しかしそんな彼女に全く物怖じしないのがこの二人。

「はひ!凄いです、ボーイズをたった一人で制圧しちゃいました!」
「凄いよ京都ちゃん!男の子よりもカッコいい!」
「京子ちゃん!?」
「男よりも女にモテる女だな」

その後、ビゾラの白々しい迫真の演技によって、不良三人組はライフセイバーの仕事は解雇。
女性陣は沢田達ではなく京都が独占する事になり、結局昼寝どころか一睡も出来ず仕舞い。
しかし、可憐な女子と冷たいスイーツに囲まれて実に幸せそうな顔をしていた京都だった。



――――――――――
―――――――
―――――

『最初にあの娘を連れたお前さんを見た時は驚いたぞ。お前さんほどの男が、部下でも娼婦でもない偽名を使うような奴をこんな所に招いたんだからな』
『俺だって自分で自分が解んなかった。得体の知れないガキと一緒にいたいと思うなんざ…』
『おお、心配したわ。殺されるんじゃなかろうかってな。ワシの知らん所でやってほしいと思った』
『俺じゃなくて店の心配かぁ!』
『誰がお前の心配なんぞするか。お前みたいな極悪面はさっさとくたばれ。自分の髪で首絞めて死ね』
『お前がなクソジジイ!全身禿げ散らかして死にさらせぇ"ぇ!』
『まぁそれはさておき』
『無視かぁぁ"ぁ!?』
『随分あの娘を気に入っとるのう。口説き落として捕まえなかったんが不思議なくらいだわ』
『この“大事な時”に女にカマけてられるかよ!』
『それを付けておいて、よく言えたもんじゃ』
『………』
『とにかく気を付ける事だ。あの手の奴は良くも悪くも狡賢い。弱みに付け込まれて首取られんようにな』
『…解ってる…』

左手首で光る銀色のブレスレット――アイツがくれた物。アイツとの思い出が嘘でない証だ。
何でこんな時に出会っちまったんだ。もっと早く…いや、寧ろ全て終わってから会いたかった。
もっと話したかった。もっとあの顔を見ていたかった。もっとアイツを知りたかった。もっと……

“任務”が終わったら、アイツを探しにジャッポーネに行こう。
アイツは「また会おう」と言った。俺と会う事を少なからず望んでくれているんだ。
だったら俺は、何としてでもこの“任務”を成功させてみせる。

『一応OBとして忠告はしておいたぞ。精々“あの名”に汚名を着せんようにな、


 ――スペルビ・スクアーロ』



傲慢な鮫は、狙った獲物を逃がさねぇ。



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当時ハンターハンター知らなかったんですけど、旧時代のヒソカとスクって同じ声なんですね。
城之内君しか知らなくて喧しいキャライメージだったんですが変態もやってたっていう(笑)

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