白雪 | ナノ
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京都に時々担いでもらっていて体力は消費していないとはいえ、いい加減終わりにして欲しい。
涙で視界が滲み始めた時、優しくも凛とした声が前を走る背中から聞こえた。

「大丈夫だ沢田、もうじき時間だ。すぐに終わる」
「鳶尾さん…」
「私の傍から離れるなよ?」
「はいっ…て、え?」

―ガチリ

頼もしい声を聞いて少し安心した綱吉。しかし次の瞬間、その顔は驚愕一色に染められた。
ランボではないが、京都は何処からともなく黒光りする大きなバズーカを取り出したのだ。
漫画を読んでいる自分には分かる。あれは彼女達真選組ではお約束のアイテムだ。

「えええええ!?」
「おっ、真選組バズーカだ!まさか生で見れる日が来るなんてな!」
「喜んでる場合か野球馬鹿!次は仕留めてやる。2倍ボム!」
「よし、最後はロケットランチャーだ」
「えええええ!ちょっ、えええええ!?」

綱吉の叫び声は、今日で何度目になるか分からない爆音によって掻き消された。
砂嵐が辺りを覆い、飛んで来る小石が顔に当たって小さな痛みが走る。
そんな中、綱吉の体は無意識に動いていた。

「ゴホッ、京都ー大丈夫かー?」
「十代目ー!ゲホゲホッ、ご無事ですかー!?」
「あそこだぞ」

リボーンが指を差した先に二人は立っていた。外傷はなさそうだ。
しかし二人の姿がはっきり見えた時、獄寺と山本はその様子に驚き赤面した。
綱吉が京都の背後から彼女の皿を庇うように両手を突き出していたのだ。
彼女の腕はバズーカを構えるために上げられていたので、腕を通し易かったのだろう。
砂嵐で前が見えないため彼女の前に移動するのが困難で、やむを得ず後ろから手を出したのだろう。
この場にいる全員が、綱吉に悪気も如何わしい目論見もない事は分かっている。
しかしこの状況は“綱吉が京都に背後から抱き付き胸を触っている”という風に見えなくもない。

「…沢田、意外と積極的だな」
「!?え、いや、俺は別にそんな…!!」
「分かっているさ、礼を言うぞ」
「ああ、よくやったツナ。ファミリーを守るのはボスの大事な仕事だからな」
「流石ッス十代目!」
「でもちょっと羨ましいのなーツナ」
「ボスとか関係ないから!あと山本は何言ってんの!?」

状況を把握した綱吉が慌てて京都から離れると同時に、パン!と小さな音が辺りに響いた。
京都の皿(レオン)の口からクラッカーの中身のような物が飛び出したのだ。
どうやら30分が経過したようである。

「合格だな。これにて試験を終了するぞ」
「やったな京都!」
「けっ」
「皆、世話になったな。沢田もお疲れ」
「いえ、鳶尾さんこそお疲れ様です…あの、マフィアの事とか全然気にしなくていいですからね?」
「案ずるな、私が好きでやっているんだ。いろいろ暴れられるだろうからな」
「(狽アの人も危険な人だったーーー!)」

自分の身の周りに危険人物が増えた事を再確認する綱吉であった。



   *  *

試験終了後、沢田宅に戻って来た5人。
綱吉の部屋で、話の種として京都は自分の世界での詳しい話をしていた。
そして5人は、自分達が何処まで彼女達について知っているかを京都に話した。
どうやら山本が漫画を、綱吉がDVDを持っていてそれを交換し合って見ていたらしい。
銀魂を知らない獄寺は、時々綱吉に補足説明をされながら彼女の話を聞いていた。

「え!?じゃあ伊東さんもミツバさんも生きてるんですか?」
「縁起でもないな。ミツバ殿は確かに体が弱いが至って健康だし、兄上の謀反は未然に終わったぞ」
「ミツバさんと土方結婚したのかーおめでとうなのなー」
「告白一つに随分時間が掛かったがな。見ているこっちがじれったい位だったわ」
「…パラレルって奴ですか、リボーンさん」
「そういう事になるな」
「京都ームホンって何?美味しいの?」
「ランボ、食い物ではない。そして髪はしっかり洗えよ?」

5人が何処か真剣に漫画の話をするこの部屋にいるランボ。京都は四次元ポケットさながらの彼の髪が気になるようだ。
今その仔牛は京都の膝の上で機嫌良く飴を舐めている。

そしてもう一人、彼女の膝に子供が座っていた。ランボと違い、その子供は行儀良く茶を飲んでいる。
リボーンに先程紹介された。中国から来た殺し屋、イーピンである。
近眼・恥ずかしがり屋・人間爆弾と一部危険な所もあるが、それを除けば子供とは思えない大人しさだ。
先程挨拶をしたが、中国語なためニイハオ位しか理解できずリボーンに通訳してもらった。

「そうだリボーン、折角試験に合格したんだ。一つ私の言う事を聞いてもらおうか」
「いいぞ、言ってみろ」
「なっ、てめーリボーンさんに何させる気だ!?」
「私の家庭教師にもなれ」
「えええ!?自らお願いィイイ!?」
「言われなくても此処の4人はみんな俺の生徒だぞ。それで、お前は何を教えて欲しいんだ?」
「まずその寺子屋に通う上での一般教養、そしてイタリア語と中国語を頼む」
「(ニッ)俺の授業は厳しいぞ?」
「そっちの方が手応えがあっていい」
「そー言えば京都って勉強大好きだったな!」
「学びこそ人生の醍醐味だ、知識が増えるからな。知識は無限に脳の中に収める事ができる。こんな楽しい事が他にあるか」
「(かっちょええー!)」
「お前達も見習え」

翌日綱吉の部屋では、春休みにも拘らず全教科+イタリア語・中国語のスパルタ教室が開かれた。
受講者は京都だけだった筈が綱吉も巻き込まれていまい、度々彼の悲鳴が家中に響き渡るのだった。



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ランボ以外の沢田家の方々で話思い付かなかったので割愛。
武器に詳しくないのでバリエーションが少ない…

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