青そら | ナノ
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▽ 人生はベルトコンベアのように流れる


―……めぇ、いか…ませ……


……誰?

―…い…おい恭、聞いてんのか?


誰なんアンタ…何で私の名前知ってんの?

―いい加減、思い出しやがれ恭。お前が何者で、どう在るべき者なのか――



――――――――――
―――――――
―――――

「……………」

またや。また見た。
黒い花弁が散る中、知らん男の子が私に何かずっと訴えかけてる夢。最近こればっかや。
あの子は“私”とどういった関係を持ってるんやろう?あの子は“私”をどんだけ理解してるんやろう?

「今井ちゃーん。そろそろ時間だぞー」
「はーい」

早く、早く思い出さな。あの子を知るために、みんなを知るために、“私”を知るために…
あの人らに、会いに行けるように…


   *  *


「えーと、山崎…ん?コレ何て読むんだ?」
「さがる、です。山崎退」

そう、俺の名は山崎退。泣く子も黙る武装警察・真選組の監察だ。
そんな俺が何故こんな工場に面接に来ているかって?

「あっそ、お宅もリストラ?最近は職にあぶれた侍で街溢れ返ってるもんな〜。かくゆう俺も昔は腰に刀差してたんだがね。今はコレさ」

勿論リストラなんかじゃない。俺が動く時、それは――事件の匂いを嗅ぎ付けた時だけさ。

「まァここはアンタみたいな落ち武者がたくさんいる。似た者同士仲良くやってくれ。おーいみんな、新入りだぞ」
「うーっス」

………の前に、予想外すぎる人を見付けてしまいました。



人生はベルトコンベアのようにれる



「い"い"い"い"い"い"い"!恭ちゃん!?なんで君がこんな所に!?」
「?」
「俺だよ俺、真選組の山崎!実は訳あって潜入捜査でここに潜り込んだんだけど…」
「オイ言っとっけどソイツ、記憶喪失で昔の事何も覚えてねーぞ」
「記憶喪失!?」

何だって、恭ちゃんが記憶喪失!?
最近めっきり屯所に来なくなったと思ったら、何時の間にそんな大変な事になってんの!?
あーあー真選組のみんなが知ったら大騒ぎになるぞ。沖田隊長は事ある毎にメール送ってるみたいだったし、副長も目に見えてイライラしてたし。局長だってすっかり恭ちゃんの父親気分だったし…
あっヤバい、あの人達ヘタしたら本気で万事屋潰しにかかるかもしんない…

「そういう事なんですいません。改めまして今井恭です、よろしくお願いします。あなたの事は、えーと…真選組から取って、真ちゃんって呼んでいいでぷぎャッ!」
「ちょっとォォ!!潜入捜査って言ってるでしょ…あ"っ!言っちゃった!」
「ちょ、初対面の人の頭タンバリンみたいに扱うとか何なんアンタ?真ちゃんが嫌やったら、潜入捜査のせんちゃんは?」
「嫌がらせ?山崎って言ってんでしょ!いくら恭ちゃんでも怒るよ?」
「せやから覚えてへんて言うてるやろ!そんな気に食わんねやったらタンバラー!これでどうや!!」
「これでどうや、じゃねーよ!!覚えてないっつーか覚える気ねーじゃねーか!」

ちょっとコレ誰ェェ!?今までの恭ちゃんからは考えられない台詞炸裂なんだけど!100%ボケだし男口調だし!
何時も制服や着物は割と正しく着てたのに、今は作業服の合わせ目をギリギリまで肌蹴させてて………
ってオイ!俺が変態みたいじゃないか!うわぁぁああ嫌だ見てて恥ずかしいからソレ閉じてェェ!!

「…そーいや何時もとキャラが違う。喋り方も表情も違うし…え?でも万事屋は?旦那達はどうしたの?」
「…万事屋は…――」

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