青そら | ナノ
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「#エロ」のBL小説を読む
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急に周りが涼しくなったのを感じて、恭は目が覚めた。
ハッとして周りを見渡すと、自分はどうやら車の中にいるようだ。右には銀時、左には新八が座っていて、2人共寝ている。助手席にいる長谷川もどうやら寝ているようである。
外を見ると定春が車の横を走っていて、背中に乗っている神楽は絶妙なバランスを保ちながら寝ていた。

「…んあ?恭…起きたのか?」
「あ、銀時さん…えーと、おはようございます…もしかして、今帰ってる途中ですか?」
「…おう…あー、その…えいりあんは、まぁ釣れんかったわ…。何か、悪いモンじゃねーらしいわ…」
「あ…そうやったんですか…」
「………」
「………」

車内に重い空気が流れた。何故か運転手は一言も話し掛けてこない。矢鱈と話し掛けてくる人は好きではないがこれはどうだろう?
理由のわからない重い空気に、恭は若干焦った。何か不愉快な事をしてしまったのだろうか?仕事もせずに寝てしまったのがいけなかったのだろうか?
ぐるぐると思考を巡らせていると、不意に銀時に声を掛けられた。

「…恭、その…悪かったな…」
「……え?」
「折角のバイト代、大半交通費に使っちまって…収穫もねーし…。自分のモン買いたかっただろ?」
「あ…いえ、気にせんとって下さい、自分のとか買う予定なかったですし」
「…あー、まあ…だとしても悪かった…」
「いえいえ、いいですよ。久々に海見れて楽しかったです」

どうやら銀時の方も、自分に嫌な思いをさせたのではと心配していたらしい。普段自己中な銀時が自分の事を気遣ってくれるのは嬉しい。元々自分の為に使う予定はなかったのだから特に銀時が謝る必要はない。
そう考えたところで、ふと恭は「あ」と声を上げた。

「?どうした?」
「…ヤバイです…今日の食費、ピンチです」
「……………」

家賃の前に、そこが問題である。
普通の人間だけなら大した事ではない。だが我が万事屋は違う。
かぶき町のギャル曽根・神楽と巨大犬定春。奴等の胃袋はブラックホールさながらである。銀時・恭だけならまだしも、奴等が加わるととんでもない食費になるのだ。

「……銀、時さん…」
「…暫くふりかけご飯だな……」

万事屋はやっぱり貧乏なままだった。



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真っ黒に日焼けして泣いたり、バナナボートで吹っ飛ばされたり、ナマコ踏んだり…
海といえばしょっぱい思い出ばっかりです(笑)

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